2004年12月30日

嘘の色と、暴かれた真実◆『スーパーサイズ・ミー』3

12月30日(木)晴れ / 『スーパーサイズ・ミー』(ゴールド劇場)

ようやく大掃除に取り掛かり始めた。"大掃除"と言っても、大したことはやれない。
フツーに掃除して、あと普段は見て見ぬふりをしている部分を、ちょこっとキレイにするだけだ。午前中から掃除を始めて、夕方には名古屋まで映画を観に出掛け、夜には飲み会がある。出掛ける前にゆっくりお風呂に入るためには、15時までには掃除を終えなければならない。大忙しの一日だ。

お昼すぎに、ケータイにメールが入った。今度、一緒に韓国旅行に行く同僚のヨメからだった。今から私のウチの近くまで買い物に行くので、時間があったら会いたいと書いてある。ヤバイ。今は彼女には会いたくない。会ったら、ダンナの目論みを全部バラしてしまいそうなのだ。彼女に嘘はつきたくない。でも、「嘘をつくこと」と「黙っていること」は違う。当分の間、私がヨメと接触しなければ、それは「黙っていること」の理由になる。都合がいいことに、今日の私は大忙しだ。「今、大掃除中。夕方は名古屋で映画を観て、夜は飲み会なの。ごめんね」と返した。「忙しいねぇ。じゃ、また今度時間がある時にゆっくりね」と返事が来た。ひと安心。しかし、何で私がこんな思いをしなきゃならないんだ。

私は嘘をつくのが苦手だ。それは、"正直者"とか、"正義感が強い"とか、そんなにキレイなものではない。ただ、嘘をついたことがバレて、相手との関係が壊れるのが怖いだけだ。昔からそうだった。18歳で初めて彼氏と1泊の旅行をした時も、私は母親に「○○くんと二人で、泊まりで旅行に行って来る。宿泊先はここ」と、ホテルの名前と電話番号を書いたメモを渡してから出掛けた。それを悪いことだという意識がなければ、嘘をつく必要もない。親もそれを理解してくれたのか、彼とはそれからも何度か旅行に行ったが、一度も咎められたことはなかった。

今回の韓国旅行だって、やましいことはひとつもない。ただ会社の飲み仲間で、一緒に韓国まで焼き肉を食べに行こうと言っているだけのことで、私たち6人の間には、色っぽい感情などカケラもない。私の立場なら「なぜ嘘までついて行かなきゃならないんだろう」と思うけれど、家庭を持っている男性の立場は複雑なんだろうな。私がもし結婚していたら、ダンナに本当のことを話して出掛けていただろうか。ダンナは「行ってきてもいいよ」と、あっさりと送り出してくれただろうか。

昔、誰かが雑誌に『嘘には4つの色がある』と書いたエッセイを載せていた。
まずは、赤。
これは『真っ赤な嘘』という言葉がある通り、『法螺(ほら)』や『冗談』に通じる部類。
それから、黒。
これは自分が利益を得るために、相手を落とし入れる嘘のこと。
そして、白。
これは病気の人に「大丈夫」と声を掛けるような、相手を安心させるためにつく嘘のこと。
もうひとつは、金色。
これは、さほどそう思っていなくても「キレイだよ」とか「ステキ」とか言うように、相手を気持ちよくさせるためにつく嘘のことのこと。
…と書かれていた。

で、ヨメに「出張だ」と言って韓国旅行に行こうとしているダンナたちのつく嘘は、一体何色なんだろう。自分の利益のためなんだろうか。相手を安心させるためなのだろうか。二つが混ざった、グレーくらいの色のような気がする。

夕方からは、予定通り名古屋で映画鑑賞。私が今年最後の映画に選んだのは、『スーパーサイズ・ミー』だった。隣の劇場では『約三十の嘘』という映画を上映している。「ひとつの嘘のためには、三十の嘘を用意しなさい」というキャッチフレーズが書かれている。テーマ的にはこちらも面白そうなのだけれど、既にこの映画を観た友人から「キャストは魅力的だけれど、話はつまらない」という情報をもらっていたので、観るのはやめた。



『スーパーサイズ・ミー』はサンダンス映画祭で話題になったドキュメンタリー映画。監督のモーガン・スパーロックは、あるニュースに興味を持った。それは、二人のアメリカ人の十代の少女が「自分たちが肥満になったのはハンバーガーが原因」と、マクドナルド社を相手取って、訴訟を起したというものだった。マクドナルド社は、自社製品が肥満に与える影響は無いと主張、裁判では「大量に食べたのは本人たちの責任」として、原告の請求は棄却された。彼女たちが負けた大きな理由は、
「ハンバーガーが健康に与える影響を立証出来ていない」からだった。ファーストフードは、本当に身体に悪影響を及ぼさないのか?1日3食、マクドナルド製品ばかりを食べ続けると、30日後に身体はどうなっているのか?スパーロック監督は自らを実験台にして、それを確かめてみることにした。

実験を始める前の監督の身体は健康そのもの。しかし、30日間マクドナルド製品を食べ続けた監督の身体は、とんでもない変化が起きていた。1日3食マクドナルド製品ばかり30日間食べ続けるなんて、普通の食生活ではあり得ない。あり得ない食生活を、どうして監督はわざわざ実験してみせたのか。それは「ハンバーガーが健康に与える影響を立証出来ていない」という裁判官の言葉からだった。現実問題として「大量に食べたのは本人たちの責任」という判決は正しいと思う。でも、監督が問題視したのは「自社製品に問題はない」と語ったマクドナルド側の主張だ。本当に問題はないのか。それを、元々はマクドナルドが大好きな監督が実験したのだ。

「ファーストフードが身体に良くない」というのは、何となく分かっている。でも、たまに食べたくなる。私だって嫌いじゃないし、2〜3ヶ月に1度くらいはマクドナルドのハンバーガーを食べる。「ファーストフードが身体に良くない」とは言うが、本当のところは、どう良くないのか分かっていないのだ。しかし、この映画を観たら、マクドナルド製品を含め、加工された食品を食べ続けることがどれほど怖いことかよく分かった。私のような生活をしている人間には、自然のものだけを採る食事を続けるのは難しい。でも、これからはファーストフードはもちろん、レトルトものも、コンビニ弁当も極力やめて、ちゃんと家で料理しようと思わずにはいられない映画だった。食事は人格をも形成という事実を、この映画では紹介している。子供を持つ親たちにも、ぜひ観てもらいたい映画だ。

ドキュメンタリー映画としては、最初からブッシュ大統領を"敵"と見なし、ブッシュ大統領を批判しただけに終わった『華氏911』よりも、数段面白かった。ただ『華氏911』にも言えたことなのだが、こういう映画は字幕を追い掛けるのが本当に大変。こういう映画こそ、吹き替え版を作った方が観やすいと思うのだけれど。



映画が終わる時間に合わせて待ち合わせをし、今年最後の飲み会。何だかんだで、今月8回目の飲み会だ。もう会社も休みに入っているだろうし、こんな日まで飲み歩いている人は少ないだろうと思っていたが、入った店の中は超満員だった。必要ないかとも思ったが、念のために予約を入れておいて良かった。最近、お酒に少し強くなった気がする。前はビール中ジョッキ2杯が限界だったのに、最近はそのあとに平気で焼酎を飲めるようになった。今日はそれでもあまり回ってこなくて、2軒目に向かう時も全然酔った感じがしなかった。

2軒目は、マリオットアソシアホテル52Fのラウンジへ。隣の棟のパノラマハウスには行ったことがないくせに、ここには5〜6回来たことがある。52Fからの夜景は確かにキレイなのだけれど、やっぱり年末ということもあって、オフィスビルの灯りが消えている分、街は暗い気がした。クリスマスイブはやっぱりキレイだったんだろうな。結局、あの日はひとりでパノラマハウスに上るという自虐的なことはやめて、あそこの場所は、いつか「ちゃんとした彼氏」と上るために取っておくことにした。それくらいの夢は持っていた方がいいかな、と思ったのだ。私はまだ、人生諦めてないし。

ラウンジで、夜景を見ながらカクテルを2杯飲んだ。まだ酔わない。やっぱり、少しお酒に強くなったかな。

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1. CINEMA●STARR 「スーパーサイズ・ミー」  [ しっかりエンターテイメント! ]   2005年09月17日 18:01
監督・出演 モーガン・スパーロック  一ヶ月、全ての食事をマクドナルドで食べ続けると体はどうなるか?監督自ら体を張って、アメリカの肥満社会に警鐘に鳴らす。  expの#4が見てみて〜とのリクエストもあったので、見てみる事にしました。  このブログの共同経営者....

この記事へのコメント

1. Posted by exp#21    2005年09月17日 18:02
いつもお世話になります。スーパーサイズミーを見ると、本当に今の食生活の怖さが身にしみますよね。。
2. Posted by 桂木ユミ    2005年09月18日 19:37
>exp#21さま
こんにちは。
この映画を観てから9ヶ月経ちましたが、それから一度もマクドナルド製品は食べていません!…もう怖くて食べられません。

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