2005年02月09日

日本人には分かり難い◆『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』3

2月9日(水)TOHOシネマズ木曽川にて

『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』を観る。TOHOシネマズでは、時々、ミニシアター系の映画をかけてくれる。元々こういう作品は大好きなのに、名古屋市内のミニシアターが激減して、前ほど観る機会はなくなってしまったので、たまにでも近所のシネコンでかけてくれることは嬉しい。でも、今回の映画はレイト上映がないので、サービスデーでもない限りは安く観ることは出来ない。今日がサービスデーではないからなのか、こういう地味な映画はこの地域ではウケないからなのか、みんな家でサッカーワールドカップ最終予選の日本vs北朝鮮の試合を観ているからなのか、観客は私ともう1人だけ。たった2人きりだ。これで、私がTOHOシネマズ木曽川で体験した、最少観客数の記録を更新した。本当なら、TOHOシネマズ木曽川の存続を危惧するべきなのだろうけれど、ここまでくると、ほぼ貸しきりの劇場にリッチな気分になり、嬉しくなってきたりもする。もう少しでイブラヒムおじさんをひとり占め出来るところだったのに、ちょっと残念だったかも。


ユダヤ人の少年・モモは、父親と二人でパリの裏通りに住んでいた。母親の顔を知らず、父親にも愛されていないモモは、笑うことを知らない少年だった。ある日、モモは近所の食料品店で万引きをしたことをきっきけに、その店の経営者である、年老いたトルコ人・イブラヒムと親しくなる。イブラヒムはコーランの教えをモモに説きながら、人生の素晴らしさを教える。少しずつ明るくなって行くモモだったが、会社を解雇された父親がモモを捨てて家を出てしまった。

モモが娼婦を買って無理に大人になろうと背伸びしたり、好きな女のコにわざといじわるをしたり、出来の良い兄と比べたがる父親に反発したりするシーンは、思春期の少年の心情を上手く映し出していて微笑ましい。規律で押さえつけようとする父親よりも、寛大な心で人生を教える老人に親しみを覚えるのも、とても自然な感じがした。

コーランの教えについては私ももちろん知らないが、イブラヒムのモモの教育の仕方は見事だった。全てを見透かし、そして罪を許す。バレていないと思って万引きを繰り返すモモに対しての、「盗むならウチの店で盗め。でも、他の店では絶対に盗むな」というセリフには、「このじーさん、やるな」と思わずにはいられなかったし、「幸せでないから笑えない」というモモに、「笑うからこそ、幸せになれるんだ」と教える言葉も印象的だった。しかし、話が宗教に絡んでくると、やはり全てを理解するのは難しい。

ユダヤ人の少年に、アラブ系の老人がイスラム教のコーランの教えを伝える…というお話。これはどういう意味があるのだろうか。単純にユダヤ人少年とアラブ系の老人との交流のお話と受け取れば、「いいお話」で済ませることが出来るのだろうが、この作品が言わんとしていることは、そんな薄っぺらなものではないような気がする。家では仏教を信仰していても、クリスマスを祝うことに抵抗がない日本人には、「ユダヤ人がコーランを読む」ということの重大性は、想像出来るはずがない。途中までは面白く観ていたが、正直なところ、急に宗教色が強くなるラスト近くは退屈で仕方なかった。しかし、この作品が本当に言いたかったことは、きっと私が退屈だったシーンに集約されているのだろう。ゴールデングローブ賞の外国語映画賞にノミネートされたということも、その辺りを十分に理解している人たちに評価されたからだと思う。ユダヤ教とイスラム教の宗教背景に疎い人間には、ちょっと分かり難い作品かもしれない。

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1. 宗教や世代を越えて惹かれあう少年と老人  [ 人生はお伽話もしくは映画のよう ]   2005年02月11日 00:31
「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」 「宗教」と聞くと、なんだかうさん臭く感じる人が多いですね。特定の宗教を熱心に信じている人が少ない国だからなのかもしれま
2. 「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」  [ the borderland ]   2005年02月11日 00:51
ユダヤ人の少年モモ(ピエール・ブーランジェ)は、幼い頃に母親が出て行き、父親と2人でパリの娼婦街で暮らしている。父親からも十分な愛情を注がれずに育ったモモは、近所の雑貨屋のトルコ人のイブラヒム(オマー・シャリフ)から生きる知恵を教えられ、心を開いていく。
3. イブラヒムおじさんとコーランの花たち  "Monsieur Ibrahim Et Les Fle...  [ A Moviegoer in Fukuoka ]   2005年02月12日 18:38
KBCシネマ1・2 孤独な少年と心優しき老人の交流をほのぼのと描いた作品で、話としてはありがちなんですが、この映画で異彩を放っているのは、60年代のパリ下町を再現した猥雑な描写と全編に流れるフレンチ・ポップスで、これらの彩りが暗くなりがちなストーリーを
4. イブラヒムおじさんとコーランの花たち  "Monsieur Ibrahim Et Les Fle...  [ A Moviegoer in Fukuoka ]   2005年02月12日 18:39
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6. こういう映画を待っていた  [ soramove ]   2005年02月19日 18:04
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7. イブラヒムおじさんとコーランの花たち  [ ネタバレ映画館 ]   2005年03月18日 00:28
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8. 『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』  [ ぺぺのつぶやき ]   2005年04月01日 09:15
2003年 フランス 85分 監督/脚本 フランソワ・デュベイロン 原作/脚本 エリック=エマニュアル・シュミット 出演 オマー・シャリフ、ピエール・ブーランジェ 「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」公式サイト→ココ ストーリー パリの裏町で...
9. イブラヒムおじさんとコーランの花たち  [ impression ]   2005年05月16日 23:31
1960年代の裏通りのパリ。道路隔ててコーランの花たちが盛を出す。それを見る13歳のユダヤ人の孤独な少年モモと、近くの食料店を構える店主の心優しき老人トルコ移民のイブラヒムとの交流がほのぼのと描かれるが、しかしこの作品どう評価していいか分からない。血なんて大し
10. 『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』  [ mujinamo's ]   2005年07月26日 04:19
本物の大人が放つ言葉。子どもはよく大人をみている。おじさんの言葉はときに難解でもあるのに「ひびき」のある言葉って子どもにちゃんと伝わってる。
11. イブラヒムおじさんとコーランの花たち  [ pure's movie review ]   2005年11月05日 23:23
2003年度 フランス作品 95分 GAGA=Communications配給 STAFF 監督:フランソワ・デュペイロン  原作:エリック=エマニュエル・シュミット 脚本:エリック=エマニュエル・シュミット、フランソワ・デュペイロン CAST オマー・シャリフ、ピエール・ブーランジェ、ジル...
12. イブラヒムおじさんとコーランの花たち  [ あんぶろ <anan-blog> ]   2005年11月26日 15:20
よい!ひっじょーに、よい映画ですよこれは さすがおフランス映画ざんすね、シャイで優しくてしなやかで良質な一本です いろんなことがあって、厭世的になってる、主人公の少年(ただし、解説の印象よりは、もうちょっと、やんちゃな感じです)彼が出合った、雑貨屋のイブラ...
13. [外国映画][短評][200501]イブラヒムおじさんとコーランの花たち   [ ほぼ日本映画専門サイト「キネマの星座」 ]   2005年12月04日 00:00
イブラヒムおじさんとコーランの花たち 1/15 京都シネマ2 ★★★ →フランスの下町におけるユダヤ人の少年とイスラム教徒のトルコ人の緩やかな交流を描いた、あったかい映画。フランスは移民が多く、様々な人種や宗教が違う人が入り組んで暮している。しかし、2005年...
14. 映画『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』  [ 茸茶の想い ∞ ??祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり?? ]   2005年12月10日 20:01
原題:Monsieur Ibrahim et les Fleurs du Coran 12月wowow特集"ミニシアター系"のひとつ。不遇の少年と気のいい近所のおじさんとの、ちょっと不思議で優しくて淡々とした物語・・・。 舞台は1960年代初頭のパリ、モモ(ピエール・ブーランジェ)は...
15. 「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」〜モモの幸せはどこに?  [ お茶の間オレンジシート ]   2006年05月20日 15:16
2003年フランス監督/フランソワ・デュペイロン出演/オマー・シャリフ ピエール・ブーランジェ ジルベール・メルキ   イザベル・アジャーニ ローラ・ネマルク イザベル・ルノー1960年代初頭のパリ・ユダヤ人街のブルー通り。母(イザベル・ルノー)に出て行かれ父...
16. 「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」  [ SolPoniente ]   2006年05月20日 22:08
「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」監督 フランソワ・デュペイロンパリの裏通りのユダヤ人街で、母の顔も知らず、父からも愛されずに育った13歳の少年モモ。ある日、彼は近所の年老いたトルコ人が営む小さな食料品店で万引をした。だが、そんなモモを叱りもせず、...

この記事へのコメント

1. Posted by カヌ    2005年02月11日 00:57
はじめまして&トラバありがとうございます。
「ユダヤ人がコーランを読む」ということの重大性ってのは、確かにピンと来ないですよね。ヒューマンドラマとしても楽しめたのですが、時代背景と宗教のことが判ってる方が面白いでしょうね。

私の記録は函館で3名というのがありました(^^;

2. Posted by moco fleeks    2005年02月11日 01:26
はじめまして。
ふたりがパリを出るまでは面白かったんですけど、
カヌさんの意見と同じく、旅がはじまったとたんにつまらなくなってしまいました。
いい映画だとは思うのですが…。
3. Posted by たしかに。。    2005年07月26日 04:20
確かに旅が始まったとたん、この映画の雰囲気が
どこか変わってしまいます。
勉強不足なのかも……。もっとコーランのこと、
ユダヤのこと、イスラムの勉強しないと映画が
面白くならないのかもなあ。
4. Posted by 桂木ユミ    2005年07月26日 05:34
>たしかに。。さま
こんにちは。
宗教のことは、生まれた時からその人に根付いているものですから、
ちょこっと映画でかじったくらいの日本人には全てを理解をするのは難しいのかもしれませんね。
5. Posted by jua    2005年08月03日 00:21
こんばんわ。
今日、この映画をDVDで観ました。
予想に反してシンプルでいて音楽も結構軽めで
すごく楽しめました。イスラムのことは私も
ほとんど知らないのですが、スーフィーダンスの
場面では、「おお、これがスーフィーダンスか!と
なんだか少し感激しました。
(スーフィズムの本は読んだことがあるので
知識としてだけかじったことがあったり)
ただ、思うのはイスラムのことにしてもユダヤの
ことにしても描写しすぎると、
あまりにも宗教色が強くなりすぎてしまうような
気もするので、私自身はこれくらいの表現が
ちょうどいいのではないかと思いました。
どちらかというと人のいいオジサンと思春期の
少年のささやかな友愛をわりと地味に描いてるって
くらいで観ていたので押し付けがましい感動とか
ではなく、逆にセンスがいいなという感想です。
オマー・シャリフ、いいですね。
6. Posted by 桂木ユミ    2005年08月03日 13:11
>juaさま
こんにちは。
私は前半はすごく面白かったのですが、後半退屈してしまいました。
宗教が絡むとかなり難しくなってきてしまって、理解出来ないことも多くて…。
>どちらかというと人のいいオジサンと思春期の
>少年のささやかな友愛をわりと地味に描いてる
このあたりは微笑ましくて良かったと思います。
でもきっと、監督が表現したかったのは後半なんだろうなーとも思いました。

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