2005年04月08日
納得がいかないミステリー◆『クライシス・オブ・アメリカ』
4月8日(金)ユナイテッドシネマ稲沢にて
全国のユナイテッドシネマズで限定公開されている、『クライシス・オブ・アメリカ』を観に来た。先に観た友人から「ダメ」という情報はもらっていたが、どうしても気になったのだ。
"Crisis of America(アメリカの危機)"という英文タイトルを公式サイトで探してみてもどこにも見当たらないと思っていたら、原題は全く違うらしい。原題は"The Manchurian Candidate (満州の候補者)"。この作品は、1962年に公開された『影なき狙撃者(The Manchurian Candidate)』のリメイクで、ハリウッドでは旧作のタイトルをそのまま使ったようだ。『クライシス・オブ・アメリカ』というのは、日本の配給会社が考えたタイトルなのだろうけど、 "crisis"の意味を知らなくても、何となくサスペンスチックな感じがしてなかなか良い。出演もデンゼル・ワシントン、メリル・ストリープ、ジョン・ボイトという名優が揃っていて、かなり興味を引かれる。配給は大手のUIP。これだけ役者が揃っているというのに、ユナイテッドシネマズ限定公開ということは、やっぱりダメなのだろうか…。
1991年、クウェート。湾岸戦争の前線で、アメリカ陸軍大尉のマルコ(デンゼル・ワシントン)が率いる部隊は、夜間に敵の襲撃に遭う。高頭部に一撃を受けたマルコは気を失ってしまうが、部下のレイモンド(リーヴ・シュレイバー)の活躍で、生還することが出来た。帰還したレイモンドは英雄として扱われ、軍隊を退いて母親のエレノア(メリル・ストリープ)と同じ政界で活躍を始めた。一方のマルコは少佐に昇進したものの、湾岸戦争の悪夢に悩まされていた。そんなマルコの前に、湾岸戦争でマルコの部隊に居たという男が現れ、悪夢について語り始める。それは、マルコがいつもみている悪夢と同じものだった。
デンゼル・ワシントンには軍人役がよく似合う。彼がメグ・ライアンと共演した『戦火の勇気』は大好きで、DVDも持っている。『戦火の勇気』と同じく、この映画も湾岸戦争絡みのミステリーで、デンゼル・ワシントンは「戦場で何があったのか」を究明していくという役どころを演じていた。同じようなシチュエーションでも、その謎の行きどころは全く違う。私は『戦火の勇気』が大好きなだけに、この作品には納得することが出来なかった。
以下、少しネタばれ。
納得出来なかった理由としては、「湾岸戦争」という実際に自分がリアルタイムで知っている戦争を題材にしているため、解明した"謎"の部分にSF的要素が加わってくることが、どうしても解せないのだ。こういう謎には、必ずと言っていいほど陰謀の核となる組織(あるいは人物)が存在するのだが、未来の話ならともかく、「湾岸戦争」にはSFチックなものは要らない。洗脳するシーンはもっと原始的な方法を用いなければ、どうしても現実味が沸かないのだ。
もうひとつ。彼らがどうして軍隊を3日(だったかな?)も拘束することが出来たのだろうか、という疑問がある。実際に銃撃戦が行われている戦地から、一部隊を連れ出すことは容易なことではない。そういうことなら、アメリカ軍も絡んだもっと巨大な陰謀に発展するのではないだろうかと考えられるが、それは一言も語られていない。果たしてSFチックな研究をしている巨大企業が、訓練を積んで前線で戦っている兵士たちを一気に気絶させて、研究所まで連れてくることが出来るのだろうか。だいたい、研究所があったあの島は、どこの国の領土なのか。研究は元々何のために行われていたのか。陰謀の首謀者が、巨費を投じて「それだけのため」に行ったことなのか。色んなことが謎だらけで、それらは全て、謎に包まれたままで終わってしまった。
"Crisis of America(アメリカの危機)"というタイトルも、観終わったあとに考えれば、微妙にズレているとも思えるのだけれど、どうなんだろう。オリジナルの『影なき狙撃者』は名作らしい。こっちの方が観てみたい。
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この記事へのコメント
私も本拠地はユナイテッドシネマ稲沢とTOHO木曽川です。
たくさん映画をご覧になってますね。
これからもよろしくお願いいたします。
こんにちは。こちらこそありがとうございます。
きっと、ご近所さんですね。
これからもよろしくお願いします。
シナトラ版はごらんになっていないようですね。それでは、この「クライシス…」とは全く別物として観賞されることをお勧めします。トラックバックいただいた時の文章では、私は設定が湾岸戦争になっていることも知らずに書いたものでした。ただ、あれだけの名作を今更いかようにリメイクするのか?ということだけでの不可思議さと半ば憤りで書いたものでした。後に湾岸戦争に置き換えていることや、やたらM・ストリープの存在が喧伝されるにつれ、お金を出してまで見る気はなくなりました。
が、シナトラ&ハーベイ・カイテルの「影なき狙撃者」は私が自信を持って万人に見てほしいと思う名作です。どうか機会があればごらんになってください。
最近のハリウッド映画はリメイクだらけですからね。
しかも、ほとんどが駄作になっているようです。
(『ステップフォード・ワイフ』『フライト・オブ・フェニックス』etc.)
リメイク版はオリジナルの素晴らしさを再認識する役割にしかなっていないようです。
オリジナルの『影なき狙撃者』は、ぜひ観てみたいと思っています。
ハーベイはハーベイでも、ローレンス・ハーベイでしたね。あぁ、気がついてよかった。
R・ハーベイは刑事コロンボでの犯人役なんか好きデス。
顔を洗っている時にまで、ここを気にして下さってありがとうございます。
実は「シナトラとハーベイ・カイテルって共演してたんだ」と、ちょっと驚いていたんです。
(でも、素直に信じてしまいましたが…)
わざわざ訂正して頂き、ありがとうございました。






