2005年04月13日

男性が女性の内面に踏み込むのは難しい◆『微笑みに出逢う街角』3

4月13日(水)名演小劇場にて

映画生活でクチコミの満足度が高い、『微笑みに出逢う街角』を名演小劇場に観に来た。ここの劇場では有料の会員制度があって、年会費2500円を払うと、映画の招待券1枚と6ポイント溜めると1回無料になるポイントカードがもらえる。それだけでは高いと思うのだけれど、会員は月曜から金曜までの平日は、いつでも1000円で映画が観られるのだ。この劇場は、ミニシアター系の小品を名古屋地区独占公開することも多いので、これは、いい映画をたくさん観たいと思っている映画ファンには嬉しいサービスだ。年に2〜3回しか行かないなら無用だが、6回以上行くなら会員になっておいた方が得なような気がして、この前入会しておいた。この映画も木曜のレディースデーなら混んでいそうだけれど、今日は比較的空いていてゆったり観られる。会員になっておいてよかった。


オリビア(ソフィア・ローレン)は、足の悪い夫と二人で生活している主婦。子供の頃には画家になる夢があったが、その夢も諦め、今はひとりでデッサンに励んでいる。夫との暮らしは平凡で静かだが、決して満たされてはいない。そんな彼女は、ずっと心の底に隠していた秘密があった。

フォト・ジャーナリストのナタリア(ミラ・ソルヴィーノ)は、アンゴラの戦地で戦火の中の子供の写真を撮り、見事にTIME誌の表紙を飾った。同じくフォト・ジャーナリストとして活躍していた父親にも褒められ、友人たちにも祝福されるが、彼女は素直にそれを喜ぶことが出来なかった。戦火の中で、自分が撮った子供が、そのあとどうなったかが気がかりで仕方なかったのだ。

キャサリン(デボラ・カーラ・アンガー)は、世界的に活躍しているチェロ奏者。そんな彼女の父親が、母親殺しの20年の刑期を終えて刑務所から出所してきた。母親を殺した父親をいまだに許すことが出来ない彼女は、父親に復讐しようと考えていた。


接点のない3人の女性。彼女たちはそれぞれに「何か」を抱えて生きていて、心から笑うことが出来ない。この作品は、そんな彼女たちが自分の生き方にひとつの決断を下し、微笑むことが出来るまでの過程を描いている。いい作品だとは思うのだが、観終わった時の印象としては、少しもの足りないものを感じた。

良く似たテーマの作品として、私はマイケル・ウィンターボトム監督の『ひかりのまち』を思い出した。『ひかりのまち』は、ロンドンに住む3人の姉妹を中心に、孤独を抱えた人々が小さな幸せを見つけていく話で、言葉にしない心理描写が素晴らしく、私の大好きな作品だ。好きな作品とテーマが似ているとなると、どうしても2つの作品を比較してしまうのだが、心理描写はもちろんのこと、登場人物の関係、映像、音楽ともに、『ひかりのまち』には勝っていないな、という印象だった。

この作品はソフィア・ローレンの出演100作目の記念映画だという。私はソフィア・ローレンが出演した映画を観たのは、たぶん本作が初めてだと思うのだが、年老いてもなお、ものすごい存在感を放っている女優だと感じた。どんなにみすぼらしい格好をしても、スクリーンの中で目立ってしまう。この作品では、ソフィア・ローレン、デボラ・カーラ・アンガー、ミラ・ソルヴィーノという3人の女優が3つの異なるストーリーでそれぞれ主役として出演し、それぞれにいい演技をしているのだが、ソフィア・ローレンの印象があまりにも強すぎて、他の2人は完全にかすんでしまっている。監督と脚本は、ソフィア・ローレンの息子、エドアルド・ポンティが手掛けており、"ソフィア・ローレンありき"の作品ということは間違いなのだろうが、彼女の存在感が、作品全体のバランスを崩してしまっているような気がした。

それでも、彼女たちの最後の決断に納得出来るものがあれば、まだ良かったのだろうが、3人ともどこか中途半端な印象がある。確かに彼女たちは微笑んだのだけれど、果たしてそれでいいの?という疑問の方が強かった。やはり、男性が女性の内面に踏み込んだ脚本を書き、映画を撮るのは難しいのだろう。

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1. 何もかも飲みこんで、微笑むということ  [ soramove ]   2005年04月17日 21:04
「微笑みに出逢う街角」★★★☆ ソフィア・ローレン、ミラ・ソルヴィーノ主演 過去に囚われながら、過ごす日々。 そのままやり過ごすことも出来た。 名声にあと少しで手が届きそうだった。 復讐に生きた虚しいこれまで。 3人の女性の人生を、 並べて描...
2. 微笑みに出逢う街角  [ PICO*THEATRE ]   2005年04月18日 20:50
小さく砕けても、幸せはまだ、私たちの手の中にある。好き度:★★★私にとっては特別何の特徴もない作品。何処といって悪いところはありませんが、逆に何処といって引き込まれるところもない。
3. 微笑みに出逢う街角  [ いつか深夜特急に乗って ]   2005年10月03日 19:45
「微笑みに出逢う街角」★★★★(盛岡フォーラム2) 2002
4. 微笑みに出逢う街角  [ ぶっちゃけ…独り言? ]   2005年11月13日 04:29
3点 (10点満点で採点してます。6点が合格ラインです。) あちゃ〜、全く以って面白くなかったです。。。 世代や境遇の異なる3人の女性の自分探しがテーマだそーですが、 ぶっちゃけ女心がこれっぽっちも分かってない(おいおいっ)ワタクシには ぜ〜んぜんっ、感情移入が...
<翳>をもつ女たちが、 「快活な笑顔」を取り戻す。 ソフィア・ローレンが100作目の出演映画として選んだ作品、しかも脚本・監督は映画界きっての大物プロデューサーであるカルロ・ポンティとの間にうまれた息子エドアルド・ポンティ。テーマにしたのは、3人の世代の違う女...
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2002年 カナダ・イタリア 97分 原題 Between Strangers 監督 エドアルド・ポンティ 脚本 エドアルド・ポンティ 撮影 グレゴリー・ミドルトン 音楽 ズビグニエフ・ペリズネル 出演 オリヴィア:ソフィア・ローレン    ナタリア・バウアー:ミラ・ソルヴィノ...
9. 映画評「微笑みに出逢う街角」  [ プロフェッサー・オカピーの部屋[別館] ]   2006年07月01日 03:48
☆☆☆★(7点/10点満点中) 2002年カナダ=イタリア映画 監督エドアルド・ポンティ ネタバレあり

この記事へのコメント

1. Posted by kimion20002000    2006年01月10日 13:38
TBありがとうございます。
設定が、わざとらしいところは、ありますね。
だけど、ソフィアローレンはさすがだと、思いました。
本年も、よろしく。
2. Posted by 桂木ユミ    2006年01月11日 21:27
>kimion20002000さま
こんにちは。
ソフィア・ローレンの存在感はさすがだと思いましたが、この作品にはあまり心を動かされませんでした。
こちらこそ、今年もよろしくお願いします

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