2005年06月10日
原作ファンをも満足させた、スタッフとキャストの力◆『イン・ザ・プール』
昨日観たテレビ版『空中ブランコ』に続き、今日は劇場版『イン・ザ・プール』を観に来た。奥田英朗著作の小説として出版されている『イン・ザ・プール』と『空中ブランコ』の"精神科医・伊良部一郎シリーズ"全10話のうち、今回は全て『イン・ザ・プール』の方に収録されている話で、タイトルとなっている『イン・ザ・プール』の他、『勃ちっ放し』『いてもたっても』の3編が映画化されている。
で、監督・脚本はというと、あまり名前を聞いたことがない三木聡というお方。経歴を見ると、今までに携わってきた作品は、『ダウンタウンのごっつええかんじ』 『笑う犬の生活』 『タモリ倶楽部』 『トリビアの泉』…って、構成作家じゃん!(過去には、シティボーイズの舞台演出もしていたらしいが…)
テレビディレクターが撮ったテレビ版『空中ブランコ』は、完全たる「テレビドラマ」だった。ならば、テレビの構成作家が撮る「映画」とは一体どんなものなのだろう。新鋭の映像作家の作品を観慣れている私には、観る前に不安が全くなかったと言えば嘘になる。
キャストは以下の通り。
とんでも精神科医、伊良部一郎………松尾スズキ
セクシー看護婦、マユミ………………MAIKO(←モデルらしい)
プール依存症のエリート管理職………田辺誠一
継続性勃起症の営業マン……………オダギリジョー
脅迫性神経症のルポライター…………市川実和子
結論から先に言うと、テレビの構成作家が撮ったこの「映画」は、れっきとした「映画」だった。この作品を撮った人が、テレビの構成作家だとは、とても信じ難いほどだ。且つ、この人は、観ている人が楽しむことを計算して映画を撮れる人だった。テレビ版では3人の患者が不思議な交流をするところも、また違った意味で面白かったのだが、映画版では3つのバラバラのストーリーを同時進行で、上手く交わらせながら構成させていた。この辺りが、脚本も担当した構成作家・三木聡の腕の見せ所だったのだろう。
テレビ版『空中ブランコ』のレビューでも書いたが、小説に出てくる伊良部一郎は、「太っている」「笑うと歯茎がニュッと出て気持ち悪い」と表現されていて、痩せ型の松尾スズキのイメージとはかなり違う。しかし、彼は太っていないだけで、完全に小説の中の伊良部一郎そのものだった。これは、三木聡の演出力と、松尾スズキの表現力以外、何ものでもないだろう。
テレビ版でセクシー看護婦・マユミを演じていたのは、釈由美子だった。釈由美子も悪くはなかったが、マユミ役は映画版のMAIKOの方が断然良かった。お色気だけでなく、冷めきっていて何を考えているのかよく分からないところが、原作のイメージによく合っていた。
この映画では、スポットは常に伊良部一郎ではなく、患者の方に当てられている。伊良部一郎は、それにちょっとだけ絡んでくる程度だ。私は原作を読んでから半年くらい経っていて、詳細までは覚えていないのだが、 3人の患者に関するエピソードは、原作よりもかなり膨らませてあるような気がした。そんな患者はたちは、自分の病気の原因が分からないまま、伊良部一郎を訪ねる。そして、実は何も考えていない、ただの幼稚なおっさんである伊良部と行動を共にしていくうち、自然に自分の病気の原因を自分自身で突き止め、知らないうちにそれを治してしまっている。原作が面白いのだから、いい脚本と監督と役者が揃えば、面白くならないはずがない。
タイトルにもなっている『イン・ザ・プール』なのだけど、メインの患者であるはずの田辺誠一は、結局、伊良部の治療を受けないまま映画は終わった。 …ということは、田辺誠一が治療を受けるところから始まる『イン・ザ・プール2』も、もしかしたらあるかもしれない。というより、このスタッフのまま、ぜひ『イン・ザ・プール2』を作って欲しい。テレビ版では放映が難しいだろうと思われる、私が大好きな『義父のヅラ』というエピソードも、映画だったら問題なく出来るはずだし、マユミが初めて感情を表現する『女流作家』も観てみたい。
三木聡は、やはり監督・脚本を手掛けた、上野樹里主演の『亀は意外と速く泳ぐ』の公開も控えている。こちらも楽しみだ。
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この記事へのコメント
いい映画なのになかなか観ている方が
みつからなかったのでうれしいですo(*^▽^*)o~♪
このエントリ読んでますます原作読みたくなりました。
他の患者と伊良部のやりとりが気になります。
こんにちは。
面白かった映画は誰かと語り合いたくてTBさせていただきました。
原作もホント面白いですから!
ぜひぜひ読んでみて下さい。
オダギリさん目的で観にいった映画でしたが、面白くて楽しめました。伊良部さんの奥さんが今もって気になってるのですが、原作でもああいうアクロバティックなキャラなのですか?伊良部さんの絵ではメーテルのような美人でしたよね・・・謎です^^;
トラックバックありがとうございます。
初めてなので嬉しいです!
moco fleeksさんはたくさん映画観てるんですね〜。
参考にさせてもらいま〜す。
映画の他に音楽の話もできそうで楽しみです(^ー^)
ぜひまた遊びに来てくださいね。
自分はどちらかというと釈由美子の方が良かったかなぁ、
って思ってたんだけど、
んん〜、ここは意見が分かれますね。
同じく『義父のヅラ』を映画化してほしいですね。
あれはものすごく笑えますから。
TBありがとうございました。
映画がとても面白かったので
原作を求めて、図書館に行ってみました。
案の定、貸出し中だったので
今度立ち読みに挑戦してくるつもりです(^^ゞ
こんにちは。
私もオダギリファンですが、原作のファンでもあり、
彼が『イン・ザ・プール』に出ると聞いた時は嬉しくて仕方ありませんでした。
で、彼がやるなら絶対に『勃ちっぱなし男』だと思っていたので、
予想が当たって、ますます楽しみになった作品でもありました。
伊良部の奥さんは、原作では電話で慰謝料を請求するだけの人だった気がしますが…。
こんにちは。
喜んで頂けて、私の方も光栄です。
映画ネタでも音楽ネタでも結構ですので、また遊びに来て下さいね。
こんにちは。
私はマユミに美人だけれど冷血なイメージを持っていたので、
釈ちゃんだと、ちょっと可愛すぎかな?と思いました。
プールに忍び込む伊良部も、ちゃんと映像化して欲しいですし、
やはり『義父のヅラ』も含めて、第二弾を作って欲しいですね。
こんにちは。
テレビ放映、映画公開と続いたので、今、図書館はかなりの激戦区でしょう。
立ち読みもいいと思いますが、声を出して笑っちゃうかもしれませんよ。
T/B有難うございました。
(うちの文章は感想になってない内容ですみません・汗)
原作&TVは全く知らずに映画を見てしまったのですが、とても楽しかったです。
こちらに伺って、ぜひとも原作を読まなくちゃ!と思いました。
図書館じゃなくお金を握って本屋さんにGO!ですね☆彡
TBありがとうございます。
私は「空中ブランコ」も「原作」も知らずに、松尾スズキ
さんが出演しているというだけで、映画見ました。
(私の場合チラシや予告編を参考に決めてますので・・・)
十分楽しめましたが、田辺誠一さんの治療が気になっていました。
今度は原作読んでみます!
まだまだ文章を書くのもブログを書くのも初心者なんですが、面白い!と
思った作品を一緒にわかちあえて嬉しいです。
他の映画のレビューもすごく細やかなので「私もコレ見たい〜!」
って気にさせられちゃいました(^^) また訪問させていただきます♪
こんにちは。
この原作は本当に面白いので、立ち読みはキケンだと思います。
私は病院のロビーで読んでいたので、吹き出しそうになるのを
こらえるのに必死でした。
電車の中などもキケンです。
ご自宅で周りを気にせずにお読みになることをお勧めします。
こんにちは。
小説では、田辺誠一が扮していたサラリーマンの治療から始まります。
それを最初に読んだ時は、伊良部のキャラが強烈で衝撃的で、
「こういう話だったんだ…」と思いました。
田辺誠一の治療シーンはありませんでしたが、
映画の構成はあれで面白かったと思います。
こんにちは。
私も面白いと思った作品を分かち合うことが楽しくて、
色々TBさせていただいてます。
(だから、意見が極端に違う人のところには送りません)
また遊びに来て下さい。
伊良部のように患者に対して親身になってくれる
精神科医っていないんじゃないかと思うんですよ。
まあ、本人は面白がってるだけなんですけど。
でも、患者は伊良部のめちゃくちゃさに
少なからず感化されているんだと思います。
親切でやってますって感じが少しでも出てたら嫌みだけど
全くそんな気配なしで、いたって無邪気?。
それでも、彼に接した患者は立ち直ってしまう。
無自覚な善行(?)が、かっこいい!(患者が優秀なのかも...)
でも、実際いたら迷惑な人ですよね、やっぱり。
長々とすみませんでした。
TBありがとうございました。
本当にきちんと感想を書いてらっしゃるんですね。頭が下がります。
わたしも『亀は意外と速く泳ぐ』は楽しみです。いえ、『イン・ザ・プール』を観て、より楽しみになりました。
トラバ有難うございました。
ブログ開始早々で嬉しかったです!
あんな大した事の無い内容に。
映画について深く語ってて凄いですね〜。
是非、原作も読んで映画と比べてみようと思います♪
僕は実はあさって三木監督の最新作の試写会に行きます
ティーチインがあるので、ちょっとお話聞けそうです
インザプールも舞台挨拶があり監督の話を聞きました
おもしろい方でした
きっと、今回も楽しい映画だと思っています
インザプールは個性の強い俳優さんが多かったですよね!
とても、楽しくみました。くすくす笑えるような感じですよね。
小説も読んでみたいなぁって思っています!
ではまた遊びに来てください
映画版は「ダウンタウンのごっつ〜」などの構成作家の方が監督さんなんですか? 知りませんでした。
でも、それならお客さんを楽しませる術を知ってらして、かえって面白いかもしれないですね。
伊集院光、僕もイメージです。
また遊びに来させて頂きます。
僕は原作も『空中ブランコ』も見ないで見に行っちゃったんですが、
これを見て「失敗したな…」と悔やんでいる所です。
これから原作読んでみようかと思います。
こんにちは。
伊良部の場合は「親身になっている」というよりは、
普段、誰にも相手にされないので「構ってくれる相手が出来て嬉しい」という程度なのだと思います。
だから、患者がきたときに「いらっしゃい」と言って迎え、
自分から外に連れ出して変なコトに付き合わせちゃう…みたいな。
彼にとっては「治療」じゃなくて、ただの「自己満足」なんですよ。
それが結果的に患者を治すというのが、この作品の面白さだと思います。
こんにちは。
私も『亀は意外と速く泳ぐ』は、チラシを手に入れて
「あ、上野樹里ちゃんの新作か。観に行こうかな」程度の気持ちだったのですが、
この映画の方が脚本・監督だということを知り、すごく楽しみになりました。
こんにちは。
お褒め頂き、ありがとうございます。
私が映画の感想を書くときは、「面白かったか」「面白くなかったか」が、まず一番重要で、
その次に「何が面白かったか」「なぜ面白かったか」と
「何が面白くなかったか」「なぜ面白くなかったか」と続きます。
こうやって、色々な方と語り合っているうちに気付くことも多く、
「これ、本文に入れたいな」と思う文章も、時々浮かびます。
おきみさんも頑張って下さいね。
こんにちは。
ティーチインですか?羨ましいです!!
また遊びに行きます。感想を聞かせて下さい。
こんにちは。
私はそれがテレビ的映像になったり、舞台的な演出になることを懸念していたのですが、
全く問題なしでした。
これからどんどんと映画の世界に出てくるかもしれませんね。
また、遊びに来て下さい。
こんにちは。
テレビ版もそれなりに面白かったですが、映画を観たあとだと物足りないかもしれません。
映画版の方が断然面白いですから。
原作は今からでも、ぜひお読みになって下さい。
TBありがとうございました。
ドラマのほうも見ましたが、断然、松尾さんのほうがあってますよね・・・。
しかし、私の中の伊良部先生のイメージは、野球の伊良部に重ねてしまいます。
体型とか、にていると思うんですが(笑)
不思議なんですが、この映画とてもストレス解消になりました。
上野樹里主演の『亀は意外と速く泳ぐ』も楽しみです。
こんにちは。
野球の伊良部ですか…。
彼にカン高い声で「いらっしゃ〜い!」と言われたら、確かに嫌かも(笑)
(あとでトラックバックをお返しします)
ボクは映画もドラマも見てませんが、原作読んでたときの伊良部のイメージが“デブ”なだけに、どちらのキャストも如何なモノかと思ってるんですよ。
松尾スズキは好きですが、なんで伊集院つかわないのかなぁと。
こんにちは。
正常と異常の境界線なんて、ホントに曖昧なものですからね。
そういう私も、安定剤飲んで休職している身ですから。
それとも、伊良部が実は名医だったってこと??
こんにちは。
松尾スズキの伊良部は良かったですよ。
イメージ的にはやはり伊集院ですが、使わない理由はやっぱり
「客が呼べない」からじゃないかと思っています。
この映画、シナリオも読みました。原作は未読なんですが。
観る前は、患者全員が治るのだと思っていたのですが、監督がシナリオを書いていて、うまく書けずにいた時、「みんな治る必要ないじゃん!」と思ってから、こういう構成になったという話を読んで、なるほど、と思いました。
原作も読んでみたいと思ってます。
伊良部はやっぱり松尾スズキがピッタリですよね。
「イン・ザ・プール2」
上映希望したいです♪
こちらもTBさせていただきました。
映画大好きな私です。
昨年はDVDも含めて130本ほど見ました。
今年は仕事が忙しくペースダウン気味です。
映画情報これからもよろしくお願いします。
うれしいです(T▼T)
実はまだ映画観てないんです・・・・(問題外!!)
友達と24日に観に行く約束をしてますから
それまでのお楽しみです♪
だから皆さんのコメントを見て妄想中です(´∇`)
早く映画観たいっす
観たらまた報告します(>Д<)ゝ”
こんにちは。
そんなエピソードがあったんですね。
私はタイトルが『イン・ザ・プール』なので、
プール依存症男と伊良部はいつ接触するんだろうと思いながら観ていました。
そうしたら、想像していない展開になり、映画としてあの構成はとても面白かったです。
原作もぜひ読んでみて下さい。
映画版の伊良部を観てしまうと、何となく頭の中の伊良部のイメージは
松尾スズキになってしまっているので不思議です。
あれだけやってくれれば、太っていなくてもいいやという気持ちにさえなってきます。
第二弾も出来るといいですね。
これからも出来るだけ多くの映画情報を発信していきますので、
また遊びに来て下さい。
こんにちは。
24日ですか…。まだまだ長いですね。
ここを読んで、めいっぱい妄想しちゃって下さい。
観たらまた感想を教えて下さいね!
早々に前売りを買っておきながら、
最近まで観にいってませんでした。
やっと観にいきました。
その記事もアップする予定なので、
書いたらそちらもTBさせていただきます。
よろしくお願い致します。
こんにちは。
感想、楽しみにしています。
TBお待ちしていますね。
遅くなりましたが
TBありがとうございました。
原作読みます。
インザプールで心に残っているのは
伊良部氏がばいたばいたと叫んだシーンです。
昨日はHOSTAGEを観にいきました。
来月はいっぱいみたい作品があるので
忙しくなりそうです。
また遊びに来ます。では(*゚ー゚)ゞ⌒☆
こんにちは。
面白いので、原作はぜひ読んで下さいね。
>伊良部氏がばいたばいたと叫んだシーンです
離婚した元妻に向かって「売女(ばいた)!」と叫んだシーンですね。
まるで子供の喧嘩のようでしたよね。
私も観たい映画がいっぱいありすぎて、時間のやりくりに大変です…。
松尾スズキさんの役は、ハマリ役!と思って見てましたが、
原作は見た目のイメージが少し違うようですね。
松尾さんの伊良部は、何かウラがあるんじゃないか
と思わせておいて、結局何にもない。
みたいな感じが面白かったと思います。
原作のほうも、なかなか面白そうですね。
こんにちは。
松尾さんは原作の伊良部とのイメージとはかけ離れているとはいえ、ばっちりハマっていましたよ!
原作もぜひ読んでみて下さい。面白いですよ。
イン・ザ・プールは
私自身が精神を病んでるヒトなので見に行ってみたのですが
共感したり笑ったり考えたり、いい映画でした。
映画は最近興味を持ち出したばかりで、
いろいろ詳しく書かれているこのサイトを読めて嬉しいです♪
原作もぜひ読んでみようと思います。
こんにちは。
私も現在、精神安定剤服用中、会社は休職中の身です。
でもこの映画は「それでもフツーなんだよ」って、笑い飛ばしてくれるところがすごく好きです。
また遊びに来て下さい。
このサイトが参考になれば幸いです。
とても楽しかったです。
松尾スズキの芝居なのか地なのか解らない演技と、丸出しのオダギリジョーが良かったです。
健太郎は今のところ健康ですが、もし精神を病んでしまったら伊良部先生にお世話になりたいです。
保険点数の水増しは勘弁願いたいですけど。
こんちは。
伊良部先生にお世話になるのはいいけど、毎回意味なきビタミン注射は必須ですよ。
でも、マユミちゃんの太ももが拝めれば、男子はオッケーなのでしょうか。








