2005年07月08日
意思を持った女性の強さを実感した◆『エリン・ブロコビッチ』
2度の離婚歴を持ち、3人の子供を抱えるエリン(ジュリア・ロバーツ)は、なかなか職に就けず困っていた。そんな中、交通事故の被害者となった彼女は、裁判に負けたことをきっかけに、自分の弁護をした法律事務所に居付いて働き始める。ある日、ファイル整理をしていたエリンは、不動産案件の書類の中に不審な医療記録を見つける。興味を抱いた彼女は、それに関する調査を1人で始め、やがて大手電力・ガス会社であるPG&E社が、様々な病気を引き起こす6価クロムを排出し、付近の住民たちの健康を著しく損ねていることを知る。しかもPG&E社は、それを住人たちに安全な3価クロムだと説明までしていた。病気に苦しむ人々に接しながら、エリンはPG&E社を相手取って訴訟を起こす。
この映画も『インサイダー』同様、実話ベースである。
女性が男性と同じ土俵で社会を生きていくのは、とても大変なこと。女性であるというハンディキャップを埋めるために、女性たちはいい学校を出たり、資格を取ったりする努力をしている。それでも、「女性は、所詮女性」という社会の偏見は決して消えたりはしない。そんな中で、エリン・ブロコビッチは、学歴も資格も持っておらず、おまけに3人もの子供を抱えているのに、その熱意で結果的に男性以上の仕事をやってのけた。仕事に傾けたひたむきな情熱が報われるというサクセス・ストーリーであり、善が勝って悪が負けるという、誰もが望むハッピーエンドは、観ていて痛快だった。
更にこの物語が観客を惹き付けるのは、エリン・ブロコビッチ自身の魅力である。大企業を相手取っての訴訟を、彼女は自分の利益とは考えず、あくまで住民たちのために行う。それも、自らの生活を犠牲にして。美しさとスタイルの良さだけでちやほやされた過去を持ちながら、その後に2度の離婚を経験し、人生の挫折を味わった彼女が 「この仕事をして生まれて初めて尊敬された。だからやめない」と言ったセリフには、とても説得力があった。
もうひとつのエリンの魅力は、やはり誰もが羨む美貌だろう。でも、自分の美貌と女の武器をフルに使って男性に上手に取り入る女性は、下手をすれば同じ女性から敵視されることがある。エリンもまた、自分の美貌と女の武器を使って男性に取り入って行くが、彼女が観客の女性の多くを味方にしてしまうのは、彼女が決して“女”を売っている訳ではないからだ。 20センチのミニスカートをはいて大胆に足を見せ、胸の大きく開いた服でおっぱいを半分だけ見せて男性を骨抜きにする。自分が見せられるギリギリのラインで勝負をかける。この、ほとんど男性をコケにした行為が、観客の女性たちを痛快にさせる。しかし、見せられる部分は惜しげなく見せるが、実はエリンは固い女性である。現に、彼女は言い寄ってきた隣人のジョージにも、簡単には心を開かない。この“固さ”が、また観客の女性たちを味方にして行くのだと思う。
『インサイダー』でタバコ会社を敵に回した主人公の男性は、タバコ会社からの執拗ないやがらせや脅迫にビビる。彼が不安になるので、彼を全面的に頼ってきた妻も不安になり、彼の元を飛び出してしまう。エリン・ブロコビッチも、PG&E社から同じような脅迫を受ける。それを知った恋人のジョージはやはりビビって彼女に仕事を辞めるように忠告するが、エリン自身はビビらない。見えない暴力に屈することなく、それに立ち向かって行こうとする。そのカッコよさは、強い女に憧れる同性から尊敬のまなざしでもって見られる。誰に対しても自分の気持ちを隠すことなく、言いたいことをはっきりと言ってしまう性格も、見ていて気持ちがいいほどだった。
男性に媚びることなく自分で道を切り開いて行き、結果として大金を手にしたエリン・ブロコビッチは、現代の女性の憧れの女性像なのだろう。
(2000年6月、劇場にて鑑賞)
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この記事へのコメント
痛快で大好きな映画です。
こんにちは。
ホントに痛快ですよね。
観ていて気持ちがいい映画です。
仕事をもつ女性として、彼女のように自分の思いをきちんと貫ける姿勢を尊敬しています。いろんな意味で勉強になった映画でした。
こんにちは。
この映画には「女性の生き方」を教えてもらったような気がします。
私も彼女のように意思を持って生きていきたいと思っています。
ご紹介いただいて観た映画(DVD)でしたが、とても良かった! 爽快感が残りました。ジュリア・ロバーツ、正直苦手だったんですけど、すっかり見直してしまいました。>「クローサー」「モナリザスマイル」なんか観てたからいけない?
もしかして、私の記事を読んで観てくださったのですか? 光栄です

この映画のジュリアは最高でした。これからの彼女に、これを超える作品を撮らせるのは難しいでしょうね。
『クローサー』は「つまらない」と友人に聞いていたので観ませんでしたが、『モナリザスマイル』も面白くない作品でしたね〜。
こんにちは。すごいカメレスでごめんなさい。
この作品は、私が観たジュリア・ロバーツ作品の中ではベスト1です。オスカーも受賞しましたが、彼女が単に美しいだけでなく、きちんとした演技も出来る女優だということが分かりましたよね。これから年齢を重ねていくごとに、美しさだけでなく、より演技力を求められていくと思います。また良い作品で良い演技を見せて欲しいですね。






