2005年07月08日

意思を持った女性の強さを実感した◆『エリン・ブロコビッチ』5

05-07-09_06-46.jpg2度の離婚歴を持ち、3人の子供を抱えるエリン(ジュリア・ロバーツ)は、なかなか職に就けず困っていた。そんな中、交通事故の被害者となった彼女は、裁判に負けたことをきっかけに、自分の弁護をした法律事務所に居付いて働き始める。ある日、ファイル整理をしていたエリンは、不動産案件の書類の中に不審な医療記録を見つける。興味を抱いた彼女は、それに関する調査を1人で始め、やがて大手電力・ガス会社であるPG&E社が、様々な病気を引き起こす6価クロムを排出し、付近の住民たちの健康を著しく損ねていることを知る。しかもPG&E社は、それを住人たちに安全な3価クロムだと説明までしていた。病気に苦しむ人々に接しながら、エリンはPG&E社を相手取って訴訟を起こす。


この映画も『インサイダー』同様、実話ベースである。

女性が男性と同じ土俵で社会を生きていくのは、とても大変なこと。女性であるというハンディキャップを埋めるために、女性たちはいい学校を出たり、資格を取ったりする努力をしている。それでも、「女性は、所詮女性」という社会の偏見は決して消えたりはしない。そんな中で、エリン・ブロコビッチは、学歴も資格も持っておらず、おまけに3人もの子供を抱えているのに、その熱意で結果的に男性以上の仕事をやってのけた。仕事に傾けたひたむきな情熱が報われるというサクセス・ストーリーであり、善が勝って悪が負けるという、誰もが望むハッピーエンドは、観ていて痛快だった。

更にこの物語が観客を惹き付けるのは、エリン・ブロコビッチ自身の魅力である。大企業を相手取っての訴訟を、彼女は自分の利益とは考えず、あくまで住民たちのために行う。それも、自らの生活を犠牲にして。美しさとスタイルの良さだけでちやほやされた過去を持ちながら、その後に2度の離婚を経験し、人生の挫折を味わった彼女が 「この仕事をして生まれて初めて尊敬された。だからやめない」と言ったセリフには、とても説得力があった。

もうひとつのエリンの魅力は、やはり誰もが羨む美貌だろう。でも、自分の美貌と女の武器をフルに使って男性に上手に取り入る女性は、下手をすれば同じ女性から敵視されることがある。エリンもまた、自分の美貌と女の武器を使って男性に取り入って行くが、彼女が観客の女性の多くを味方にしてしまうのは、彼女が決して“女”を売っている訳ではないからだ。 20センチのミニスカートをはいて大胆に足を見せ、胸の大きく開いた服でおっぱいを半分だけ見せて男性を骨抜きにする。自分が見せられるギリギリのラインで勝負をかける。この、ほとんど男性をコケにした行為が、観客の女性たちを痛快にさせる。しかし、見せられる部分は惜しげなく見せるが、実はエリンは固い女性である。現に、彼女は言い寄ってきた隣人のジョージにも、簡単には心を開かない。この“固さ”が、また観客の女性たちを味方にして行くのだと思う。

 『インサイダー』でタバコ会社を敵に回した主人公の男性は、タバコ会社からの執拗ないやがらせや脅迫にビビる。彼が不安になるので、彼を全面的に頼ってきた妻も不安になり、彼の元を飛び出してしまう。エリン・ブロコビッチも、PG&E社から同じような脅迫を受ける。それを知った恋人のジョージはやはりビビって彼女に仕事を辞めるように忠告するが、エリン自身はビビらない。見えない暴力に屈することなく、それに立ち向かって行こうとする。そのカッコよさは、強い女に憧れる同性から尊敬のまなざしでもって見られる。誰に対しても自分の気持ちを隠すことなく、言いたいことをはっきりと言ってしまう性格も、見ていて気持ちがいいほどだった。

男性に媚びることなく自分で道を切り開いて行き、結果として大金を手にしたエリン・ブロコビッチは、現代の女性の憧れの女性像なのだろう。

 (2000年6月、劇場にて鑑賞)


mocofleeks at 23:59 │Comments(8)TrackBack(8)お薦めの旧作映画 

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1. エリン・ブロコビッチ  [ 〜〜映画見ちゃいました〜〜 ]   2005年07月10日 13:34
製作: ダニー・デヴィート/マイケル・シャンバーグ/ステイシー・シャー 監督: スティーヴン・ソダーバーグ 脚本: スザンナ・クラント 撮影: エド・ラクマン 出演: ジュリア・ロバーツ/アルバート・フィニー/アーロン・エッカート/マージ・ヘルゲンバーガー/ピーター 製作
2. エリン・ブロコビッチ  [ 映画の休日。 ]   2005年07月10日 20:54
エリン・ブロコビッチ 全米史上最高額の和解金3億3千3百万ドルを勝ち取った女性のサクセス・ストーリー。 カリフォルニアの小さな町に住むエリン・ブロコビッチ(ジュリア・ロバーツ)には、 二度の離婚経験があり、今は3人の子供達を養うため職を探す毎日を送っ
3. エリン・ブロコビッチ  [ まるっと映画話 ]   2005年07月11日 08:54
ERIN BROCKOVICH '00年 ジュリア・ロバーツ   おもしろ〜い。とってもハッピーになれる映画。大好き! でもこれで実話ってところがすごい。しかもウェイトレス役で本人が出ているって。 本人はこの映画どう思ったんだろう。これでいいのかな。 究極の娯楽作品になっちゃ
4. エリン・ブロコビッチ  [ いつか深夜特急に乗って ]   2005年07月26日 19:31
「エリン・ブロコビッチ」★★★★★ 2000年アメリカ 監督
5. 「エリン・ブロコビッチ」DVDにて  [ xina-shinのぷちシネマレビュー? ]   2005年08月18日 20:53
DVDで『エリン・ブロコビッチ』を見ました。(手持ちDVDですけど) 主演は『プリティ・ウーマン』『ノッティングヒルの恋人』の「ジュリア・ロバーツ」、監督は「スティーブン・ソダーバーグ」。 『エリン・ブロコビッチ(ジュリア・ロバーツ)』は二人目の夫とも別...
6. エリン・ブロコビッチ(DVD)  [ cococo ]   2005年10月02日 18:02
「良い映画ですよ」「ご覧ください」、とさる映画通の方から教えていただいて観る映画
7. CINEMA●STARR「エリン・ブロコビッチ」  [ しっかりエンターテイメント! ]   2006年06月27日 14:48
監督 スティーブン・ソダーバーグ 出演 ジュリア・ロバーツ、アルバルト・フィニー、他  ×2で、三人の子持ちで、貯蓄なしの女が、弁護士事務所の勤務を機に、企業の環境汚染に気づき、住民らと共に公害訴訟を起こすという、実話を基に映画化。 エリン・ブロコビッ...
5 「エリン・ブロコビッチ」を観ました。 スティーヴン・ソダーバーグ監督、ジュリア・ロバーツ主演。 この映画好きなんですよ。観るのは5、6回目くらいかな。実話を基にしているんだけど。 ソダーバーグ監督の映画は結構観てるんだけど、僕的には良い悪いのムラ....

この記事へのコメント

1. Posted by 奈緒子と次郎    2005年07月11日 08:56
TBありがとうございます♪
痛快で大好きな映画です。
2. Posted by 桂木ユミ    2005年07月12日 05:56
>奈緒子と次郎さま
こんにちは。
ホントに痛快ですよね。
観ていて気持ちがいい映画です。
3. Posted by みっちー    2005年07月24日 21:59
TBありがとうございました♪
仕事をもつ女性として、彼女のように自分の思いをきちんと貫ける姿勢を尊敬しています。いろんな意味で勉強になった映画でした。
4. Posted by 桂木ユミ    2005年07月25日 10:05
>みっちーさま
こんにちは。
この映画には「女性の生き方」を教えてもらったような気がします。
私も彼女のように意思を持って生きていきたいと思っています。
5. Posted by あかん隊    2005年10月02日 18:01
TBありがとうございます。
ご紹介いただいて観た映画(DVD)でしたが、とても良かった! 爽快感が残りました。ジュリア・ロバーツ、正直苦手だったんですけど、すっかり見直してしまいました。>「クローサー」「モナリザスマイル」なんか観てたからいけない?
6. Posted by 桂木ユミ    2005年10月02日 20:33
>あかん隊さま
もしかして、私の記事を読んで観てくださったのですか? 光栄です
この映画のジュリアは最高でした。これからの彼女に、これを超える作品を撮らせるのは難しいでしょうね。
『クローサー』は「つまらない」と友人に聞いていたので観ませんでしたが、『モナリザスマイル』も面白くない作品でしたね〜。
7. Posted by exp#21    2006年06月27日 14:46
この映画、結果は派手ですが、内容はとっても地味なように感じたのですが、とてもジュリア・ロバーツが良くて、明るく軽やかな映画になったように思います。最高傑作と呼ばれても不思議ではないですよね。
8. Posted by 桂木ユミ    2006年07月10日 00:15
>exp#21さま
こんにちは。すごいカメレスでごめんなさい。
この作品は、私が観たジュリア・ロバーツ作品の中ではベスト1です。オスカーも受賞しましたが、彼女が単に美しいだけでなく、きちんとした演技も出来る女優だということが分かりましたよね。これから年齢を重ねていくごとに、美しさだけでなく、より演技力を求められていくと思います。また良い作品で良い演技を見せて欲しいですね。

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