2005年07月09日
何かに打ち込める青春時代の輝き◆『がんばっていきまっしょい』
1976年の四国・松山。 美しく穏やかな海に囲まれたこの町に生まれ育った悦子(田中麗奈)は、京都大学に通う成績優秀で要領のいい姉に比べ、不器用で勉強も苦手。 高校入学を目前に控えても、心底打ち込めるものが見つからない苛立ちで、ふらりと数時間の"家出"をする。 そこで偶然見かけた高校のボート部の練習に何か惹かれるものを感じた悦子は、高校に入学したらボート部に入ろうと決意した。
しかし、いざ入学してみると、ボート部は男子だけで女子チームはないと門前払いをされてしまう。 「ないなら、作ればいい!」と考えた彼女は、女子部員集めを試みるが、思うように部員は集まらず、結局男子に混じって練習させてもらうこととなった。 その年の夏、「新人戦に出場するまで」という約束で、4人の“にわか女子メンバー”が集められた。 全く運動部に所属した経験のないその4人は、とりあえず練習を始めてみるものの、やる気は全くない。 案の定新人戦は惨たんたる結果で、その時初めて味わった屈辱により、「このままじゃやめられない」と、彼女たちはようやくやる気を起こすのだった。
舞台は1976年の松山の高校。 1976年といえば、ピンクレディが『ペッパー警部』でデビューした年だそうだ。わざわざその時代を選んだということは、ストーリー上では何の関係もなさそうだが、この作品に出てくる女の子たちのピュアな気持ちは、 “コギャル”と呼ばれた世代以降の現代の高校生では、決して表現出来ないように思える。例えば岩井俊二監督が『Love Letter』の中で描いていた中学校の教室のような どこかノスタルジックで、懐かしい匂いがこの作品には感じられた。
最初は運動の経験ゼロでまるでやる気のなかった女の子たちが、ひとつひとつ経験を重ねるにつれて、だんだんやる気を出してくるくだりも良いし、 何と言っても主人公の悦子の、思い込んだらどこまでも突っ走ってしまう性格が私は好きだった。
何をしていいか分からないまま高校入学をしてしまった女子高生たちが、 たまたま目にしたボート部に入部することを決意し、“何か”を見つけるために必死でボートを漕ぐ物語。 彼女にはそれを極めようなどという、どん欲さはない。 はっきりした目的もなく、ただ今の自分が出来る精一杯のことを夢中でやっているだけ。 そして、そうしているうちに、彼女たちはボートが自分の全てになっていることに気づく。
過度の練習がたたって腰痛で動けなくなり、医者にも「もうボートは漕いではダメだ」と言われ、 練習出来ない悔しさに悦子が電車の中で涙するシーンや、 「私、ボートがないと何もないんです」とコーチにこぼすシーンなどは、グッとくるものがあった。 『青春時代』という古くさい言葉がぴったりな作品。 勝つとか負けるとかそういう問題ではなく、 ただがむしゃらに何かに打ち込んでいた、過ぎ去った日の自分を思い出させてくれるような、懐かしさを感じさせてくれる作品だった。
(1998年11月、劇場にて鑑賞)
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この記事へのコメント
悲しみはいつか、自分の心の強さに変わると思います。
そしてそれは生きていく上で、絶対に必要な優しさや
思いやりになっていく筈です。
僕はこの作品で少し優しさを分けて貰いました。
疲れた心に暖かい火を灯してくれました。
執筆活動大変でしょうけど、ケセラセラですよ。
肩肘張らずに!
失礼します。
追記
奈良べぇですけど、名古屋は大好きでたまにふらっと
遊びに行きますよ。(アイコ16歳の影響かな?)
こんにちは。
色々なカテゴリーを読んで下さったようで感謝します。
執筆活動は5/6くらい終わりました。あと少しです。
(っていうか、締め切りまでもあとわずか…)
ここだけの話ですけど、私、映画『アイコ16歳』のオーディションを受けたんです。
高校時代に、友人たちみんなとね。
見事に書類選考で落とされました。
ネイティブな名古屋弁なら自信があったんですけどねぇ…。
あの時受かっていれば、今頃は富田靖子か松下由樹のポジションに…いないだろうなぁ(笑)
岩井俊二の「Love Letter」のノスタルジーと通ずるものがあるというユミさんの指摘、なかなか鋭いと思います。知ってますか、岩井俊二とトヨエツは同い年。ついでに僕もです。ユミさんよりちょびっとだけ年上です。
ちなみに、中山美穂と豊川悦司が会話する喫茶店のBGMに70年代に流行ったグループ「風」の曲が何気なく流れてドキッとさせられました。
こんにちは。
岩井監督とかトヨエツと同い年ということは、ちょうどこの映画の時に青春真っ只中(古い言いまわし…)だったわけですね!
>ちなみに、中山美穂と豊川悦司が会話する喫茶店のBGMに70年代に流行ったグループ「風」の曲が何気なく流れてドキッとさせられました。
これは知りませんでした。映画が始まる前に、イメージソングとか言ってナントカという新人バンドの曲がずーっと流れていたので、それだと思っていました。
全く関係ありませんが、免許証を拡大コピーしたときの藤井樹の生年月日が自分の妹と全く同じだったので、余計に自分が過ごした時代のノスタルジックさを感じさせられました。
…話が『Love Letter』になっちゃいましたね

TBありがとうございました。
本当にたくさん見てらっしゃるんですね。
感想、面白く読ませていただきました。
月に12〜13本なんてすごい!!
私は月に2〜5本程度です^^;
「がんばっていきまっしょい」は
70年代をよく知らない私でさえ、
懐かしさがこみ上げてきました。
本当にいい作品ですよね。
こんにちは。
私は映画に関しては雑食ですから…。でも、観なきゃ面白い映画にも出会えないと思って、色々観ています。
『がんばっていきまっしょい』は、いい映画でした。ビデオに録ってあるので、今観ているドラマ版が終わったら、もう1度映画版を観直してみようかと思っています。
こんにちは。
お誉め頂き、ありがとうございます。
ノスタルジックな感じが実に良い映画でしたね。私も大好きです。
こんにちは。
結局、青春時代の輝きって、いつの時代も変わらないのですね。ただ、「一生懸命」であることが絶対条件ですが。
とても素敵な映画でした。
自分もあんな青春を過ごしたかったです。
青春の輝きを見事に表現した、良い映画ですね。
こんにちは。
私も高校時代「一生懸命になれること」が無かったので、ある意味、輝いていた彼女たちが羨ましかったです。






