2005年08月11日
小ネタは面白いのに、全体は「そこそこ」◆『亀は意外と速く泳ぐ』
前回、ベストセラー小説『イン・ザ・プール』の映画化で、"ゆる〜い笑い"を提供してくれた三木聡が、今度は自らのオリジナルの脚本で監督を行った。
『イン・ザ・プール』のレビューの時にも書いたが、この三木聡という人物は、『ダウンタウンのごっつええかんじ』 『笑う犬の生活』 『タモリ倶楽部』 『トリビアの泉』などを手がける構成作家だ。今回も予告編で『脱力系ムービー』とうたっていたので、"ゆる〜い笑い"を期待して観に行った。
片倉スズメ(上野樹里)は、海外に単身赴任中の夫が居る主婦。離れて暮らしている夫が心配しているのはペットの亀だけで、スズメのことはどうでもいいらしく、スズメは夫に言われて、亀にエサをやって毎日を過ごしている。スズメは普通より少し天然ボケが入った主婦で、自分は極めて普通に暮らしているつもりなのに、何かにつけて失敗の連続ばかりしている。そんな中、外出の途中で偶然に「スパイ募集」の張り紙を見つける。何となくそこに連絡してしまったスズメは、ある国のスパイだと名乗る夫婦から活動資金として500万円を渡され、「目立たないように平凡でいること」を強要される。こうして、片倉スズメは「スパイ主婦」となったのだった。
宣伝用のチラシには「片倉スズメは何をやっても目立たない平凡な主婦」と書かれているが、私はそうは思わなかった。天然ボケ満載の主婦で、どこからどう見ても「平凡」ではない。そして、「平凡」でいようとすればするほどおかしなことになる。そのスズメに「平凡」を強要するところがこの作品の一番の面白さだ。出てくる人たちはみんな変な人たちばかりで、「平凡」な人など一人も出てこない。スズメを雇ったスパイ夫婦はもちろんのこと、ラーメン屋も、水道屋も、豆腐屋も、床屋も、警察官も、スズメの憧れの先輩も、スズメのお父さんも、みんなどこか少しずつおかしい。
しかし、「面白くないわけではないのだけれど、特別に面白い映画ではない」というのが私の正直な感想だった。「クスっ」と笑える小ネタが満載で、そのひとつひとつは面白いのだけれど、最後まで観て、これを1本の映画作品として捉えてみると、果たしてこの作品は面白かったのだろうかという疑問が沸いてくるのだ。この辺りが、やはりテレビの構成作家の作る映画の限界なのだろうか。 90分間小ネタを繋ぎ合わせ、それなりに笑いを取っていても、 1本の映画として成り立っているのかといえば、ちょっと違う気がする。『イン・ザ・プール』のように、3つの異なるストーリーを上手く組み合わせるような手法であれば、もう少し納得出来た作品になったかもしれない。
「そこそこ」という言葉が劇中よく使われていたが、この映画を表現するなら「そこそこ」というのがぴったりの言葉だと思う。 ただ、この作品の中で特筆すべき点は、上野樹里と蒼井優の、二人の若手女優の演技だった。特に、蒼井優はスズメの親友の扇谷クジャク役でが出演しているが、いつもの大人しそうなお嬢様的な役柄とは全く違う、ど派手で大胆な役を演じている。決して派手な顔立ちではなく、派手なメークをしているわけでもないのに、演技と格好だけで、扇谷クジャクの「派手さ」を表現している。私は彼女のこんな役を見たのは初めてで、まさかこんな役が出来ると思わなかったので、彼女の演技の幅を知って、正直に言って驚いた。今、一番注目している若手女優と言っても良い。
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この記事へのコメント
僕はこの映画、とっても楽しく観ましたよ。
最初は「クスッ」としか笑えず「大したことないかな」って思いましたが、この「クスッ」笑いの連続が、段々つぼに入ってきました。
登場人物も一癖も二癖もある役者ばかりで、この映画を盛り上げていました。
上野樹里のとぼけた感じも、地なのか分からないけど結構気に入りました。
今回もブログの不具合でトラックバックできないようですみません。
僕はこの作品とても楽しめました♪
小ネタというアイテムの構成がとても上手く思えました。
今を時めく女優2人は素晴らしかったですね。
僕も蒼井優のこういう面の演技は初めて観たので驚きました。
この2人はどんな役でもこなしちゃいそうですね。
今後も注目していきたいです。
こんにちは。
上野樹里ちゃんは『ジョゼと虎と魚たち』ではすごく嫌な役をやっていたのですが、
『スウィング・ガールズ』では舞台挨拶でも見ることが出来、
舞台袖での素の様子を見ていて、根っから「いい子」だなーと思いました。
この映画の樹里ちゃんのトボケっぷりはサイコーに良かったです。
ゆる〜く、何となく騙されたような感じで終わっちゃったのが残念でしたが…。
こんにちは。
ただ今、livedoor新環境へのデータ移行中なのだそうです。
管理も全く出来ない状況になっています。
(コメントだけは反映されるみたい)
蒼井優ちゃんの演技は他にも4本ほど観ていますが、今回の役には驚きました。
同時に、こんな役もこなせる彼女にびっくり。
今後も上野樹里ちゃん同様、注目していきたいと思っています。
trackback有難うございました。
この作品、私には「そこそこ」面白いところが好いんですね(笑)。私の方からもtrackackさせて頂きます。dより
スキン変わりましたね。
明るい感じで、とてもよいです。
(特に『亀速』にはピッタリ)
実は前のスキン、Firefoxでうまく表示できてなかったんで助かりました。
では、また。
「そこそこのラーメン」に代表され
るよーに全体的に狙ってそこそこ感が
漂ってますよね♪
役者陣も一癖も二癖もある方々の起
用が更にそこそこ感をUPしている。
そこにきて、今、躍進中の上野樹里と
蒼井優共演。
あまりにゆるく心地よい作品なので、ラスト近くの15分はついうとうとしてしまいました。
小ネタの連続で作品全体をつなぎきれなかったとも思いますが、
見る方も脱力して見れば、「そこそこ」楽しめる作品ですね。
小ネタが好きなので嗤いっぱなしでした。
そこそこラーメンのオヤジが最後に作った美味いラーメンが食べたいです。
父と縁側で「にこにこ」していたようににこにこしながら観る映画ですね。
ぼけーっと観ていたら、そのまんまぼけーっと終わっていました。んがっ! もしかすると、この「ぼけー」を狙った映画だったかも知れず、案外まんまと策略にひっかかったのかもしれない…、とぼちぼち考えながら帰路につきました。
蒼井優ですが、TVドラマ「タイガー&ドラゴン」のリサはクジャクと同じタイプの役と言っていいと思います。どっちを先に撮ったのかは知りませんけど。
なので、自分はありまりギャップありませんでした。もともと、「花とアリス」しかみてなかったので、刷り込み的なイメージはなかったのかもしれません。
こんにちは。
そう。「そこそこ」のところがね。笑。
TBありがとうございました。
こんにちは。
livedoorのデータ移行が完了したということで、新しいデザインが使えることになりましたので、変えてみました。
ちょうど「亀色」と同じでした。
タイミングよすぎ。
これからもよろしくお願いします。
こんにちは。
「美味いラーメンを作れる店主が、そこそこのラーメンをわざと作る」ところとか、特に面白かったですよね。
ストーリーとしてはどうだろう…と思うのですが、満載の小ネタと役者陣にまんまとヤられた印象です。
こんにちは。
あまりにもゆるすぎたんですね。
私もよく映画で寝るので、他人のことは責められません。
あの脱力ぶりは、家でテレビを観ている感覚に近かったのかもしれませんね。
>そこそこラーメンのオヤジが最後に作った美味いラーメンが食べたいです。
私もあのラーメン食べたかった…。
「にこにこ〜」というセリフも印象的でしたね。
こんにちは。
>もしかすると、この「ぼけー」を狙った映画だったかも
きっとそうだったのでしょう。
売りの言葉が「脱力系ムービー」ですから。
私的には、ラストをビシっとシメて欲しかった気がしますが…。
こんにちは。
私は『タイガー&ドラゴン』は観ていなくて、『花とアリス』『星になった少年』『ニライカナイからの手紙』での優ちゃんしか知らず、ちょっと驚きました。
いい女優さんですね。ファンになりました。
TBありがとうございました!
普段、私はあまり映画を見る方ではありませんが、
これだけはどうしても見たかったのです!
実は想像していたストーリーではなかったのですが、とっても楽しめました。
トラバありがとうございます。
小ネタがフンダンに盛り込まれてましたが、三木さんが携わった過去の番組や舞台のファンにしか分からないようなモノが多かったので、一見さんには厳しかったと思われます(笑)。
上野樹里はこのまま小林聡美路線で突っ走って欲しいと切に願ってます(笑)。
うん、僕も全体としてはそこそこやなあって思いました、この映画。
でもこういう、そこそこの映画がたくさん山のようにあれば、それはそれで豊かなんやないかなあ、なんて思うんですけど。
いや、出来はそこそこでも「てるてる家族」ファンにはこれで充分やったりもして。
ちなみに、うちはガス給湯器がイカレてしまってますけど、暑いんで湯を使わないので修理を先延ばしにしてる状態です。
ほんとに”そこそこ”というのが似合う
映画でしたね。
でも若くてかわいらしい女優を主役にしながら、こういう不思議な作品にしているっていうのは、なかなか見事だと思いました。
蒼井優さんも素敵でしたね。
こんにちは。
>これだけはどうしても見たかったのです!
このコメントが妙に気になります。
想像とは違っていても楽しめて良かったですね♪
こんにちは。
>三木さんが携わった過去の番組や舞台のファンにしか分からないようなモノが多かったので、一見さんには厳しかったと思われます(笑)。
そうだったんですか!
私が全く笑っていないところで隣の席の女性は「ふふふ」と笑っていたのは、きっとそのせいですね。
上野樹里ちゃんはいい女優さんになりそうですね。
こんにちは。
こういう映画が作れるっていうことは、日本は平和なんだなーと思います。
ガス給湯器、この時期でよかったですね。
私なんて「エアコン修理に一週間?冗談じゃない」って、すぐに新しいのに取り替えましたから。
今は快適で〜す!
こんにちは。
全体的にみるとあまり意味がないストーリーでしたよね。
小ネタは面白いのですが、最後には煙に巻かれてしまったような印象でした。
せめてスパイと公安の絡みだけでもきちんと見せてくれれば、もう少し満足できたかもしれません。
こんにちは。
上野樹里ちゃんの「永久パーマ」と、蒼井優ちゃんの「なんだ、その頭は〜!」の絡みがサイコーでした。
でも、ちょっと予告編で面白いところを見せすぎていた気もします。
予告では全く見なかった要潤のお姿には驚きましたが…。
本当に「そこそこ」な感じの作品でしたが、肯定的に「そこそこ」を打ち出しているような気がして面白く見ました。優秀なスポーツ選手や武道の達人は、試合中に「脱力」している瞬間がある、という話を思い出しました。
そう,『そこそこ』感を鑑賞後ににんまりと味わうのがこの映画の醍醐味です。僕は『そこそこ』満足していますよ。
デザイン変えたのですね
僕のほうはまだ変更されていないですねぇ・・・
この映画はユルユル満載で、あえてこの作品を映画にした、ということがすごいと思いました
こんにちは。
わざと「そこそこ」に作っていたということなのでしょうね。
それも製作者側の狙いだったのでしょう。
まんまとハマってしまいました

こんにちは。
私は「そこそこだったな〜」と思い、劇場をあとにしました。
ラストはもう少し引き締めて欲しかった気がしました。
こんにちは。
新しいシステムは、使い勝手がいい部分もあり、悪くなった部分もあり…。
手直しに相当時間を取られています。
この映画、自宅で寝転んで観るようなテレビ作品のようでしたよね

蒼井優ちゃんは、私もタイガー&ドラゴンで
注目していたのですが、
この映画ではさらにはじけていたと思います。
こんにちは。
蒼井優ちゃんはヨイですね。
どんな役でもこなせる女優さんで、今後大注目です。『タイガー&ドラゴン』に出ていることは知らなかったので、観ればよかったな…。
今回はこちらからTBさせていただきました。
「脱力系」がテーマの映画でしたが、見終わった後、しばらく「ぽか〜ん」としてました(つまらなかったわけではないです)。
こんな感覚初めて味わいました。
(こちらのミスでTBが重複してしまいました、申し訳ありませんでした。)
こんにちは。
ああいう映画もたまにはいいですよね。のほほんとしてて。
TB重複はlivedoorのシステムが重いのが原因です。早く直ってくれるといいのですが…。
つまらなかった訳ではありませんが、DVDでも十分かなという気も(笑)
こんにちは。
そうなんですよね。わざわざ映画にしなくても…という作品でした。逆に作り手は「そこそこ」を狙っていたのかもしれませんが…。







