2005年08月19日
心に傷を負った青年と少女の友情◆『キャメロット・ガーデンの少女』
ケンタッキー州の裕福な人々が暮らすルイズヴィルの郊外“キャメロット・ガーデン”に、10歳の少女デヴォン(ミーシャ・バートン)の家族が引っ起してきた。見掛けだけの美しさを好むキャメロット・ガーデンの住人たちになじめず、うわべだけの幸せな家庭を演じようとする両親に反発するデヴォンは、孤独と空想の世界を愛し、森の中に住んで人を食い殺す“バビヤガ”という名の魔女の存在を信じていた。
ある日、“キャメロット・ガーデン”の外に出てはいけないという両親のいいつけを破り、壁を抜け出して静寂に包まれた深い森へ進入したデヴォンは、そこで“バビヤガ”の棲み家のようなトレーラーハウスを発見する。こっそり忍び込み“バビヤガ”の正体をつきとめようとしたデヴォンだったが、そこに帰って来たのは、22歳の青年トレント(サム・ロックウェル)だった。“キャメロット・ガーデン”の住人を相手に芝刈りの仕事をしているトレントは、警備員や、若い男たちが自分に対して快く思っていないことを感じ取っていた。デヴォンが原因で住民たちとトラブルを起こしたくない彼は、すぐに彼女を返そうとするが、彼に自分と同じニオイを感じたデヴォンは、執拗に彼の周りを徘徊するようになる。やがてトレントも、そんな彼女のペースに巻込まれ、ふたりは仲良くなるが…。
オープニング、デヴォンがクッキーを作るシーン。少女をかたどったクッキーの真ん中に、レーズンを埋め込むデヴォン。そこにたまたま1匹の蝿がとまり、それをレーズン代わりに押しこむ…。そのシーンだけで、私はこの作品に凄いものを感じた。そのシーンに、デヴォンがどんな少女なのかが集約されているのだ。そして、物語が進むにつれて、彼女の背景が徐々に明らかになって行く。心臓病で身体の中に機械を埋め込まれ、身体に大きな傷あとを持つデヴォンは、それが心の傷にもなっているのだった。
しかし、両親はそんな娘の心の傷を癒すことをしようとはせず、外観ばかりを気にする。そればかりか、見せかけだけの理想の家庭を築くことに一生懸命になっている彼らの姿は、見ていて寒気がするほどだった。デヴォンが歪んでいるのではなく、彼女を育てている両親が歪んでいるのであり、彼女が住んでいるキャメロット・ガーデンという町自体が歪んでいるのだ。
両親に対する感情と同じように、キャメロット・ガーデンにもなじめないデヴォンが、両親から止められているにも関わらず、自らの意思でその外へと出て行こうとする気持ちも分かるし、キャメロット・ガーデンの外で自分と同じニオイのする青年トレントと出会い、友達になりたいと願うのも、すごく自然なことのように感じられた。デヴォンは、彼の前ではとても素直な少女でいることが出来、両親の前では仮面をかぶっていても、トレントだけには本当の自分を見せることが出来るのだ。
トレントもまた、キャメロット・ガーデンの住人たちからは疎外された存在。彼が芝刈り機で作業をしながら、そこに何が落ちていてもお構いなしに踏みつけていくという様は、彼のキャメロット・ガーデンの住人に対する気持ちを、鋭く描写した部分だった。
後半の彼の衝撃的な行動は、それまで心の中に隠しておいた住人たちに対する憎悪が、一気に爆発してしまったのだろう。共に心と身体に傷を負った、10歳のデウォンと22歳のトレントの友情の物語。年齢が離れているからとはいえ、ロリータものとは決して違う。
ラストシーンの捉え方は色々あると思うが、私はデヴォンのイメージの世界だと解釈した。
(1999年6月、劇場にて鑑賞)
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この記事へのコメント
こっちゃんも好きな作品です。
ミーシャ・バートンは今流行のダコタ・ファニングをきりりっ!としたような女の子ですね。
この映画では確かにちょっとブラックな女の子の感じでしたが・・・。
サム・ロックウェルもこの映画で好きになりました。
最近はキワモノ系に走ってるのかな?
主役の二人を初めて知った思い出の映画ですよ♪
こっちゃん(^o^)/
以前お邪魔させていただいたYUKIです。
この説明読ませていただいて、この映画がホントに見たくなっちゃいました。
レンタルビデオSHOPが近くにないので辛いですが・・・なんとか見てみるつもりです☆
ご旅行楽しんできてくださいねぇ♪
私もこの映画でサム・ロックウェルを初めて観ましたが、彼もいい役者ですよね。この映画も地味に上映されていましたが、いい映画でした。5年以上前なのに、まだ心に残っています。もう1度観たいなぁ…。
こんにちは。
旅行から無事帰ってきました。
この映画は、オススメですよ。機会があったらぜひぜひ観て下さいね。
こんにちは。
ミーシャ・バートンといえば、この映画のあと、『シックス・センス』で一気に有名になっちゃいましたね。
卓球をしている映画を検索してみたところ、『監禁』というタイトルらしいですね。レヴューを書いていた人は「ものすごくつまらない」と言っていましたが…

なかなか良かったです〜。グリ−ンの芝がすごく美しかった〜!すっぽんぽんで川に飛び込むシ−ンにドキリ☆としたなぁ。キュンとなった映画でした!
こんにちは。
サム・ロックウェルといえば、『キャメロットガーデン』のあとに観たのが『ギャラクシー・クエスト』だったり『グリーンマイル』だったりしたので、あまりにもキャラの違う個性的な役を次々にこなすので驚きました。
すっぽんぽんシーンは、スクリーンで観ると、かなりびっくりしましたよ。






