2006年03月15日

「生きる権利」を奪われた人々の現実◆イノセント・ボイス-12歳の戦場-4

8b3e1400.jpg3月9日(木)伏見ミリオン座2にて

1980年、エルサルバドルでは、政府軍と、世界恐慌によって仕事を失った多くの貧しい農民を中心に結成された反政府組織FMLNとの激しい内戦下にあった。そんな、軍とゲリラの境界線に閉じこめられた、小さな町クスカタンシンゴに11歳の少年チャバ(カルロス・パディジャ)は住んでいた。父親は家族を捨ててアメリカへと旅立ってしまい、チャバは一家の大黒柱として母親と姉と小さな弟を守らなければならない。母親が仕事に出ている間にも、表で銃撃戦が始まり、家の中にも嵐のように撃ちこまれる弾丸。チャバは姉ロシータと弟リカルドをベッドの下で必死に守った。しかし、チャバが家を守れるのもあと少し。少年たちは12歳になると政府軍に徴兵される。政府軍は、学校へと押し入り、12歳になった少年たちを無理やりトラックに乗せて行ってしまうのだ。チャバ自身も12歳の誕生日が怖かった。そんな中、チャバの家に懐かしいベト叔父さんがやって来た。今は、反政府ゲリラのメンバーだという。ベト叔父さんにすっかり魅せられたチャバは、反政府ゲリラに志願することに決めるが…。


またひとつ、悲しい戦争映画を観てしまった。これも実話で、12年間に及ぶ内戦は、7万5千人の犠牲者、8千人の政治的失踪者、そして100万人近い亡命者を生んだという。1980年で11歳と言えば、私と年齢はさほど変わらない。それなのに、平和にのほほんと暮らしていた私は、この映画を観る日まで、かつて世界のどこかでこんな悲惨な戦争が行われ、まだあどけない12歳の少年が徴兵されていたことなど、全く知らなかった。

チャバを演じたメキシコの少年カルロス・パディジャは、3000人の中から選ばれたのだそうだ。真っ黒な瞳が印象的で惹きつけられるものがあった。少年の持つ素直で純朴な瞳と、戦火と徴兵に怯える瞳を見事に演じきり、彼の演技がこの作品の悲惨さを引き立てていると言っても過言ではないだろう。

「私たちが生きる権利を守るのだ」という、神父の言葉が印象的だった。「生きる権利」って何だろう。平和に暮らしている人間には、当たり前すぎて答えが出てこない。「生きる権利」を奪われるということはどういうことなのだろう…。子供にも容赦なく銃を突きつけ、平気で放つような現実。この映画は、あまりにも重すぎて、私にはつらかった。救いを見い出すことも出来なかった。しかし、世界のどこかで「生きる権利」を奪われた人々が、怯えながら毎日を生活していたという現実に目を背けてはいけないのだと、観ておくべき映画なのだと思った。

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ある少年の実体験を基に作られた映画です。世界に30万人以上いるとも言われる少年兵について描かれています。 1980年、エルサルバドルでは、政府軍と反政府ゲリラの間で激しい内戦が繰りひろげられていました。政府軍は、12歳になる少年たちを”兵士”として徴収するため...
2. 『イノセント・ボイス 12歳の戦場』  [ ラムの大通り ]   2006年03月22日 00:44
「この映画を観ていると、 その昔にはやったある反戦フォークを思い出した。 マイケルズというグループが歌うその歌は『坊や大きくならないで』と言うんだ。 その中に『お前が大きくなると いくさに行くの いつかはきっと 血に染まるだろう』という一節がある。 これはまさ...
3. イノセント・ボイス-12歳の戦場-  [ 映画とCINEMAとムービー ]   2006年06月26日 21:21
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