2006年04月07日

目を背けてはいけない事実◆『白バラの祈り〜ゾフィー・ショル最期の日々』4

白バラの祈り3月31日(金)名演小劇場にて

1943年のミュンヘン。ヒトラーが破壊的な戦争をヨーロッパで遂行する中、第三ドイツ帝国を失脚させるべく、レジスタンス組織、「白バラ」が結成された。ミュンヘン大学の女学生である21歳のゾフィー・ショル(ユリア・イェンチ)は、唯一の女性メンバーとしてグループに入り、兄ハンスと共に、大学構内でビラをまいているところを見つかって、ゲシュタポ将校に連行される。ゾフィーは数日間に渡り、尋問官モーアの取り調べを受けるが、無罪であることを主張。彼女は信念を強固にし、仲間の情報提供を頑なに拒み、モーアに立ち向かっていく。やがて決定的な証拠が上がり、ゾフィーは裁判にかけられることになるが、彼女はそこでも信念を曲げることはしなかった。


本年度アカデミー賞の外国語映画賞ノミネート作品。ドイツ・ナチスの歴史を語るに於いて、「白バラ」とは有名な組織の名前らしいが、歴史に疎い私は「白バラ」の存在も、ゾフィー・ショルの存在も、映画を観るまで知らなかった。タイトルが語る通り、ゾフィーは最後まで信念を曲げずに処刑という最も重い刑罰を受け入れ、逮捕からたった5日間でこの世を去る。その最後の5日間を描いた作品が、この『白バラの祈り〜ゾフィー・ショル最期の日々』なのだ。

シューベルトを愛し、恋人に生きる喜びを語る、普通の女学生ゾフィー。しかし、彼女はヒトラーの政権を許せなかった。尋問官はゾフィーの頑なさに心を打たれ、逃げ道を用意するが、彼女はそれでもまっすぐに自分の運命に立ち向かって行った。観ていてとても緊張する、別の言い方をすればストレスが溜まる作品だった。ゾフィーと兄のハンスが大学でビラをまくシーンから緊張の連続で、逮捕、尋問から証拠が上がり、処刑されるまで、それはずっと持続していた。

どんな時代にも、必ず反逆児は居る。それぞれに思想を持ち、それぞれの方法で既存のものに立ち向かっていく。しかし、ドイツ国内で誰もが「ハイル・ヒトラー」と叫んでいた時代、自分の命を賭けてそれに立ち向かっていった21歳の女性が居たということは、私にとっては衝撃的な事実だった。救いのないラストシーンの映画は、私は好きではない。でも、私はこの映画のラストシーンから目を背けることが出来なかった。目を背けてはいけないと思ったのだ。

ゾフィー・ショルを演じたユリア・イェンチは、『ベルリン、僕らの革命』でも主演のユール役として、時代の反逆児を演じていた。しかし『白バラの祈り』では、『ベルリン、僕らの革命』のような甘っちょろい反逆児ではなく、意思の強い、凛とした姿が印象的な女性を見事に演じきっていた。「白バラ」とは、決して彼女のことを指しているのではないのだろうが、「白バラ=ゾフィー・ショル」という例えは、ぴったりだったと思う。

またひとつ、映画によって知っておかなければいけない歴史を学んだ気がした。

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この記事へのコメント

1. Posted by ノラネコ    2006年04月08日 02:38
息詰まる様な、圧倒的なドラマでした。
観終わって思わず、当時のドイツにも、日本にも、そして世界中に今も存在するはずの無数のゾフィーたちに思いを馳せました。
色々な意味でわが身を振り返らせてくれる映画でした。
2. Posted by 桂木ユミ    2006年04月08日 22:50
>ノラネコさま
こんにちは。
まさにその通りの作品でしたね。例えば日本が戦争を始めたとしたら、私はきっと反対はすると思いますが、そのことに自分の命を賭けることは出来ないでしょう。ゾフィーは何という意思の強い女性だったのだろうと、この映画を思い返す度に思います。

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