2006年08月07日

超ハリウッド作品的な日本映画◆『日本沈没』3

f79e4f4f.jpg7月25日(火)TOHOシネマズ木曽川にて

※画像はどうやら名古屋地区限定公開らしい「名古屋沈没」のポスターにしてみました。

周りから「かなりヒドい」と聞いていたので、覚悟して観に行ったのが功を奏したのか、結構楽しんで観る事が出来た。原作は知らないし、過去に公開された映画も観たことはない。だからこそ、日本中をとことんめちゃくちゃにしたこの沈没劇をどのようにして収拾つけるのかが気になって、ラストまで退屈せずに観ることが出来たのだった。日本では大地震や水害が多発している昨今、自然災害パニックものを「結構楽しめた」などと言ってしまうのは不謹慎かもしれないが、この作品はまるで『アルマゲドン』や『ディープ・インパクト』や『デイ・アフター・トゥモロー』のようなハリウッド映画を観ているようで、あまりのあり得なさに、現在の日本人が危惧したり直面したりしている自然災害には、自分の中で結び付けられなかったというのが事実だ。感動を売りにしている映画なのだが、「感動した」というより「結構楽しめた」などと思ってしまったのだから、作り手が観客に期待していた感想とは、ちょっと違ったのだろうと思う。

気になった点はいくつもあった。一番うざったかったのは、テロップによる説明が多すぎること。場所だの施設だのに、いちいち名前を説明するためのテロップが出る。九州くらい、画面に映った地形を見れば映画を観ている日本人のほぼ100%は分かるだろうに、それにも「九州」というテロップが出るので、「そんなこと説明されなくても分かるよ!」と思ってしまう。観ている人間は東京タワーが映れば東京なのだと分かるし、清水寺が映れば京都だと分かる。富士山だって、説明を入れなくてもほとんどの日本人は分かるだろう。時にはテロップでの説明は必要かもしれないが、それは最低限に抑えて、セリフと映像でそれを説明するのが脚本家と監督の手腕なのではないかと私は思うのだけれど…。

超ハリウッド映画的な大味な作品なので、細かいところに突っ込みを入れようとすればキリがないが、一番不自然だったのは、日本中のあちこちで大災害が起こっているのに、小野寺(草剛)の実家がある会津だけは何事もないように平穏で、それに「この付近はまだ被害が少ない」というテロップが付いたところ。あまりのご都合主義に「えぇーーーーーっ?そのなのアリ??」と思ってしまった。しかも、小野寺はパニックに陥っている東京からどのような手段を使ってか実家までたどり着き、また大混乱の東京まで戻ってきてしっかりと仲間を見つける。あえてそのシーンが必要だったとは思えないだけに、余計に不自然さを感じてしまった。…というよりは、実家の造り酒屋を小野寺の姉が継いでいるという設定で和久井映見を出演させて、『夏子の酒』を連想させたかっただけなんじゃないかと思ったりもして。

ハイパーレスキュー隊員・玲子役の柴咲コウは、この映画のために中型自動二輪の免許を取ったそうで、それなりに頑張っていたと思うが、いつも強気な女性なイメージがあるからか、演技がワンパターンなのが気になる。クライマックスシーンで、あまりにもベタに主題歌が流れて感動を強要されるのにも引いてしまう。「結構楽しめた」という割には、あまり誉められるような言葉は浮かんでこないので困るが、20億円もの巨額の制作費を投じたとこといい、日本映画でここまでハリウッド映画っぽい作品にはあまりお目にかかれないので、私の中では「とりあえず観ておいて良かったかな」と思えた作品になった。日本が沈没危機に瀕した時、中国では難民受け入れ拒否に合い、アメリカには経済的に見捨てられる…というくだりも、シニカルで面白かった。

今、もうひとつ気になっているのは、『日本以外全部沈没』という筒井康隆原作の『日本沈没』のパロディ映画。小松左京は映画化に関しては許可したものの「出来すぎるパロディーを書かれた原作者はいつまでも根に持つ」との理由で出演依頼を断ったそうだ。制作費は『日本沈没』の100分の1、撮影期間は7日とのこと。相当チープでB級っぽいが、これはかなり観たいかも。

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この記事へのコメント

1. Posted by 存在する音楽    2006年08月07日 21:10
パロディ、面白そうですね。

柴咲さん、来年撮る映画のためにトレーニング中らしいです。デ・ニーロのように色々とチャレンジして欲しいです。
2. Posted by 作太郎    2006年08月08日 12:37
難民受け入れの映像はシニカルでよかったですよね。
この映画期待せず見るととても良く出来た作品です。
確かに小野寺の実家会津だけ何も起こらない設定は不自然でしたね。それよりこの大災害の中、小野寺だけ実家や、東京、富士山避難所と自由に動き回れる設定の方が私は不自然でした(笑)
日本以外全部沈没も映画になったら面白そうです♪
3. Posted by 警告おやじ。    2006年08月10日 07:10
ご無沙汰していました。
小野寺が何であんなあちこち動けるの?っていう設定は確かに不自然ですし、突っ込みどころはもっとたくさんあったわけで。
でも、私的には面白かったです。満足♪
日本以外全部沈没も、9月からやるんですね。見に行こうかな?
4. Posted by 桂木ユミ    2006年08月11日 00:05
>存在する音楽さま
こんにちは。
柴咲コウは、ドラマ『オレンジデイズ』でも自然な手話を披露していて、「役作りのための努力を惜しまない女優」だと思っていました。最近、髪もバッサリと切りましたよね。次には今までのイメージを脱した役を見てみたいです。
5. Posted by 桂木ユミ    2006年08月11日 00:10
>作太郎さま
こんにちは。
私も周りの評判ほど悪くなかったと思います。確かに突っ込みどころは満載でしたが、ラストまで退屈せずに観ることが出来ましたから。期待せず観たのが良かったのかもしれません。
6. Posted by 桂木ユミ    2006年08月11日 00:14
>警告おやじ。さま
こんにちは。
『日本以外全部沈没』って、予告編を観ただけで興味沸きますよね。これも元ネタ『日本沈没』を観ていないと、どうパロっているか分からないわけだから、そういう意味でも『日本沈没』は観ておいて良かったかな、と。東京は9月に公開のようですが、名古屋はいつ公開になるのかな? 公式サイトにはまだ出ていないので、早く情報が欲しいです。

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